松竹大歌舞伎を鑑賞しました

kabuki歌舞伎、文楽、そして能。
日本文学科では日本が誇る伝統芸能を学ぶ「伝統文化教育プログラム」を毎年実施しています。
6月1日(木)にはその第一弾として、プロの能楽師を大学にお迎えして特別講義を開催しました。
(その時の記事はこちら)

第二弾は歌舞伎です。
7月15日(土)に1年生全員と2年生以上の希望者で「松竹大歌舞伎」を鑑賞しました。
会場は東京エレクトロンホール宮城、全員S席での鑑賞です。

新型コロナウィルスの蔓延によって、歌舞伎の巡業公演は行われておりませんでした。
今回は約4年ぶりの巡業公演。演目は『菊畑』と『新古演劇十種の内 土蜘』。

参加した学生たちは大変楽しんだようです。感想を一部抜粋して紹介いたします。

 

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歌舞伎を観劇する人々は賑やかだと感じた。面白いと思ったタイミングで笑ったり、演者が登場や退場、決めポーズをするときに拍手したり、掛け声をかけたりする人のいる客席に自分も身を置き、自分の感情を表に出しながら観劇することのできる日本の芸能の魅力を感じた。
今回の歌舞伎の観劇を通して、自分が持っている印象以上に歌舞伎が親しみやすいものであることを実感した。イヤホンガイドの貸し出しを勧める人が席の間を歩きながら呼びかけ、話の内容を理解しやすくする手段を教えていることや、開演前に演者の声で見どころや演じるのに拘っているところを伝えるなど、初めて観劇する人や古文に自信のない人でも話に入っていきやすいような工夫がなされていると考えた。また、観劇しに訪れた人々の雰囲気も穏やかに感じられた。開演前や幕間の時間に隣の席に座った友人と話の整理や登場人物、話の概要の確認をしていたところ、閉幕後に前に座っていた方から声をかけられた。騒がしかったのなら申し訳ないと思ったが「詳しいですね。何か専門で学んでいる学生さんですか。いろいろな話をしているのが聴こえて観劇中以外も楽しめました」という言葉を頂き、初めて会った人にもそのような温かい言葉をかけてくださるのかと少し驚いた。驚きはしたが、この温かい雰囲気があるからこそ歌舞伎の観劇中に演技に観客が反応したりできるのだろうと感じた。

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授業であらかじめ内容を把握していたことで言葉が分からない部分があっても流れを掴むことが可能になり、周りに座っていた一般の方々と演目の内容の話をすることが出来た。初めて実際に歌舞伎を観て、歌舞伎役者、黒衣、出囃子、附け打ちのどれかが欠けてしまってはこの舞台は成り立たないのだと感じた。

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次に『土蜘』を観劇した。幕がすべて上がった時が、歌舞伎を観た時間の中で一番大きな衝撃だったと思う。『菊畑』とは全く違う舞台の構造で、17人もの囃子方が舞台にいることに驚いた。『菊畑』のように三味線を演奏する人と語りが一人ずつではなく、三味線を演奏する人は五人、語りも五人ととても豪華なように感じた。『土蜘』は『菊畑』に比べ役者よりも語りのほうが多く声を出し、全体的に音楽も多いので、観劇しているうちに妥当な人数であるのではないかと思うようになった。客席から見て正面の壁には能舞台のように大きな松が描かれており、この作品は能の作品であるということを思い出した。

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私は今回の松竹大歌舞伎が、人生で初めての歌舞伎観劇でした。開演前、舞台からお囃子が聞こえてきたとき、胸がとても高鳴りました。
『菊畑』では、舞台上にある沢山の菊、色鮮やかな花や風景が描かれた背景が印象に残りました。登場人物の着物も写真で見るよりも色鮮やかで、舞台上が本当に華やかでした。これまで、テレビなどで歌舞伎を観たことはありましたが、実際に観る歌舞伎は想像以上に色合いが美しく、衝撃を受けました。実際に舞台を観ることでしか体験することができない感動があることは分かっていましたが、視覚だけでもここまで感動することができ、驚きました。また、三味線や太鼓などの楽器、演者の声や足音など、生でしか感じることのできない音の迫力がありました。皆鶴姫を演じた坂東新悟さんは、開演前の挨拶の際、男性らしい低温で芯のある声だったので、皆鶴姫の声が本当に女性らしくて驚きました。

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「伝統文化教育プログラム」第三弾は人形浄瑠璃「文楽」。秋に観劇予定です。