いまこそ「よむ本」:きけ わだつみのこえ
2020.07.21
学芸学部人間文化学科 大平 聡 教授 [教員プロフィール]
もう45年ほど前のことです。浪人して臨んだ第一希望の大学の二度目の挑戦に失敗し、絶望して部屋に閉じこもっていた夜、つけていたラジオから流れてきたのが、この本の朗読でした。
学びたい、そのために大学に入ったのだ。しかし卒業前に軍隊に入り、明日は戦地に送られる。お国のため、父母のため、弟妹のため、自分は命を捨てて働き、愛する人々を守り抜く。
言葉はさまざまに異なりながら、しかし、どの文章にも、学びたい、学びたいという気持ちが溢れています。それを聞いていて、二度の失敗にうちひしがれている自分がちっぽけな存在に思えました。どの大学であろうと、学べることこそが喜ぶべきことなのだ。
今でも、あの夜聞いたこの本の朗読の声に励まされることがあります。大学生のうちに、是非読んでいただきたい本の一冊です。