いまこそ「よむ本」:蜜蜂と遠雷

2020.05.11

音楽科 小山 和彦 教授 [教員プロフィール]

この長編小説は、昨年映画化され、ご存知の方も多いことでしょう。コンテスタント(ここではピアノコンクール出場者)の微妙な心理状態が見事に描かれているのはもちろん、目からウロコだったのは、「曲を仕上げていく作業は、なんとなく家の掃除に似ている。」という一節です。丹念に掃除をすれば、部屋の隅々まで見通すことが出来て、今まで気がつかなかった発見があるということは、一般的な学びと全く同じですね。とても感動的な場面は、風間塵という不思議な存在に本選出場者たちが影響され、コンクールの短い期間中に大きな成長を遂げるところです。蜜蜂王子こと風間塵という「少年はミュージックだ。」、さいごにあるこの単純な文をかみしめながら、“music”の偉大で不思議な力を改めて考えさせられます。

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