いまこそ「よむ本」:暴力は絶対ダメ!(Never Violence!)
2020.05.13
教育学部教育学科(健康教育専攻) 戸野塚 厚子 教授 [教員プロフィール]
教育学部教育学科(健康教育専攻)の戸野塚厚子です。
みなさんは、『長くつ下のピッピ』、『やかまし村の子ども達』、『ロッタちゃん』等、アストリッド・リンドグレーン(Astrid Lindgren,1907-2002) の作品とすでに出会っているかもしれません。リンドグレーンは、スウェーデンを代表する児童文学者です。
今回は、児童文学作品ではなく、リンドグレーンの講演『暴力は絶対ダメ!』を紹介しようと思います。それは、1978年にドイツ書店協会平和賞を授賞した際の記念講演です。その一部を引用します。
「・・・・時には戦争になったかもしれません。たった一人の権力欲、あるいは復讐心、あるいは虚栄心、あるいは強欲、あるいはこれが最もありふれているようですがーあらゆる状況において最も効果的解決策として暴力を過信することによって。同様に、たった一人の良心的で思慮深い人物が、暴力に訴えないことによって、大惨事を回避できることもあるのです。これは、たったひとつの結論になるかもしれません。世界の運命を決めるのは個々の人間だということです。」
アストリッド・リンドグレーン(石井登志子訳)(2015) 『暴力は絶対だめ!』岩波書店,pp.16-17
この講演の中で「もっと厳格な支配」、「手綱を引き締めること」、「暴力」を望むのか、それとも「平和に、互いに連帯感を持って生きていたいのか」と、リンドグレーンは問いかけています。短い内容の本ですが、「平和」、「こども」、「大人とこどもの関係」など、多くのことを考えるきっかけを与えてくれるはずです。
あわせて、映画『リンドグレーン』もお薦めします。彼女の半生を知ることによって、作品やメッセージがより深く伝わってくることでしょう。
キャンパスでの再会が許されるようになったら、お茶をしながらの感想会を企画しませんか?