いまこそ「きく音」:「マタイ受難曲」第39曲 憐れみたまえ、我が神よ

2020.05.04


 
末光 眞希 学長 [プロフィール]
 

学長の末光眞希(すえみつまき)です。この苦しい時代、J.S.バッハの「マタイ受難曲」が心に沁みます。一押しは第39曲Erbarme dich, mein Gott(憐れみたまえ、我が神よ)。主イエスの裁判を中庭で見守る一番弟子ペトロは、屋敷の下女たちに「この人はイエスと一緒にいた」と指摘され、三度これを否定します。そのとき鶏が鳴き、イエスの預言を思い出した彼は号泣します。そして歌われるのがこのアリアです。限りなく美しい旋律が私たちの弱さを映し出し、心を捕らえて放しません。<受難>をあらわす英語パッションは<受ける>が原義。転じて、私たちを突き動かすものとして<情熱>という意味を持ちました。この受難が私たちに新しい情熱をもたらすことを信じたいと思います。

J.S.バッハ 「マタイ受難曲 第39曲Erbarme dich, mein Gott(憐れみたまえ、我が神よ)」
(YouTubeへリンク)

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