教員のリレーエッセイ:現代ビジネス学科 教授 永田貴聖

みなさんこんにちは。現代ビジネス学科の永田貴聖です。専門は移民研究・文化人類学で、日本と韓国でフィリピン人移住者の社会関係の広がりについて研究しています。移民研究は国境を越えて移住する人々の文化や生活習慣の変化や出身国とのつながりや往来について研究する学問です。

また、学生たちとのゼミでは「多文化社会構築の文化人類学」というテーマで、地域社会において、地域に長く住んできた人々と新しくやってきた海外からの移住者がいかにして関係を構築するかの「仕掛け」、「機会」、「場づくり」について学習しています。

現在、日本は人口減少期を迎えている一方で、外国人住民の数は約330万人と史上最高となっています。東北地方においても増加しています。例えば、仙台の地下鉄の整備や、水産加工の工場、漁船の乗組員などは外国人労働者なしにはもはや立ち行かないとも言われています。その多くはベトナムやネパール、インドネシア、フィリピン、中国などアジアから来日した人々です。

地域の中には、外国人移住者と積極的に関係を構築し、街のことを好きになってもらおうとする取り組みも多くあります。宮城県気仙沼市では、インドネシア人を従業員として雇用している企業が異国での不安を少しでもなくそうとインドネシア人の多くが信仰をしているイスラム教の祈りの場をつくったり、地元の人々と外国人のみなさんが交流できるカフェイベントが開かれたりもしています。
(写真は、気仙沼みなとまつりでのインドネシアとの交流企画)

また、日本人と外国人が交流するだけではなく、日本に住むある国出身の外国人と別の国の外国人の交流も盛んに行われています。京都市東九条地域では、在日コリアン(戦前に日本に移住してきた朝鮮半島出身の人々と子孫)とフィリピン人が交流し、コミュニティカフェを共に運営しています。(写真は、京都のコミュニティカフェで提供されるフィリピン料理)

このような取り組みが広がることで日本において「多文化共生」が進むことを願うばかりです。また、このことを海外の大学でも研究報告しています。(写真:フィリピン大学アジアセンターでの研究報告/使用言語:英語)

みなさんも一緒に注目してみませんか?

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