教員のリレーエッセイ:心理行動科学科 教授 友野 隆成

心理行動科学科の友野です。パーソナリティ心理学を担当しております。7年ほど前のリレーエッセイで、私が取り組んでいる2つの研究についてご紹介させていただきました。1つが、卒業研究以来継続して行っている「曖昧さ耐性」に関する研究、もう1つが、「心理学実践セミナー」の授業で受講生の皆さんと一緒に行っている「義援金」に関する研究でした。7年経った今でも、相変わらず同じことをやり続けています(もちろん、1つ1つの研究の細かいところはそれぞれ少しずつ違うのですが)。

 
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、どちらの研究も今年は内容とやり方を変えなくてはならない状況になってしまいました。今回のリレーエッセイでは、新型コロナウイルス禍が2つの研究をどのように変えたのかについてご紹介したいと思います。
 
まず、私のライフワークとなっている「曖昧さ耐性」に関する研究ですが、やり方自体はこれまでとほとんど変わっておりません。今年は、内容を新型コロナウイルス禍に関するものにシフトさせました。新型コロナウイルス禍はいつ頃終息するのか、自分が感染する可能性はどれくらいあるのか、ワクチンが使えるようになるのはいつ頃でその効果はどの程度なのかなど、先行き不透明なWithコロナ社会はある意味曖昧な社会と言えるかもしれません。
 
この曖昧なWithコロナ社会の適応に、曖昧さ耐性が一役買っているかもしれないと考え、現在曖昧さ耐性と新型コロナウイルス恐怖との関連についての研究を進めているところです。状況は刻一刻と変化しておりますので、研究そのものが先行き不透明になっている感は否めませんが、その曖昧さに耐えながら日々悪戦苦闘しております。
 


今回作成したオンライン募金画面の1つ

一方、「義援金」に関する研究ですが、こちらは内容のみならずやり方も大きく変えざるを得ない状況に追い込まれました。これまでは、大学祭で実際に募金活動をしながらデータ収集をしていたのですが、今年はそれもままならない状況でしたので、「心理学実践セミナー」の受講生の皆さんと相談のうえ、「オンライン募金」に挑戦することになりました。

 


寄付していただいた支援物資の梱包作業中

今年度は、東日本大震災の義援金に加えて、新型コロナウイルス禍で困難な状況に立たされている医療従事者やライブハウス支援のための募金活動を、オンライン募金サイトを用いて行うことにしました。さらに、オンライン募金活動だけではなく、非対面で支援物資(不要になった衣服)を集めて発展途上国などに寄付するという活動も行いました。これまでとは勝手が異なり、中々思ったように募金を集めることができませんでしたが、支援物資の方はこちらの想定以上にたくさん寄付していただけました。今回の活動に際し、寄付してくださった全ての方々にこの場を借りてお礼申し上げます。
 
なお、オンライン募金活動は今年度末(3月ごろ)まで実施予定です。研究室のホームページにそれぞれの活動のリンクがございますので、リンク先の内容をご覧いただき、趣旨にご賛同いただける方は寄付をお願いいたします。また、簡単なアンケートもございますので、併せてご協力いただけますと幸いです。
 
以上、前回のリレーエッセイから変わったこと・変わっていないことを述べてきましたが、世の中には常に曖昧さがつきまとっていることを再確認しました。大学での学びも、答えが無い・答えが一つではない問いに向き合うという、曖昧さが多分に含まれたものです。曖昧さに耐えることが、色々な側面で大事だということが言えるのではないでしょうか。