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教員のリレーエッセイ:音楽科 准教授 井坂 惠

2021.01.15

 音楽科の井坂惠(いさか めぐみ)と申します。声楽に関係する科目(声楽実技・合唱・オペラ演習など)を担当しています。
 私が担当しております科目は、そのほとんどが実技科目ですので、これまではそのすべてを対面で行って参りました。でもご存じの通り、新型コロナウイルス感染症の影響により今年度から授業は一変しました。前期の授業は遠隔でスタートすることになりましたが、何から手を付ければ良いのかわからない、アナログ人間な私でしたので、大学から示される方法や、同僚の先生方から得た情報により手探り状態の中で準備していきました。
 

オンラインレッスンの様子

 担当科目である「合唱」は主にリアルタイム型を基本とする遠隔授業として組み立てました。授業では、まず歌詞の読み方、言葉のつけ方、曲の内容等を配信し、画面を通じて一人一人とやり取りをします。その後、事前にメールで送った伴奏音源に合わせて歌唱、録音し(YouTubeで映像として配信してくれる学生もおりました)、私に提出するという方法を取りました。
 画面に映る学生との時差が生じたり、またその時々でWifi環境に不具合が生じたり、声を出しにくい状況にいるということもありましたが、試行錯誤を繰り返しながら進めていくうちに、面白いことが起こっていきました。

 
 「合唱」はこの字のごとく、「声に出し唱(とな)え、合わせる」わけですから、これまでの授業では、各パート毎に(数十名のソプラノ・メゾソプラノ・アルトのパート単位で)その声を聴いてきたわけです。ですが、今回は一人ずつ聴かせてもらうことになりました。これまでの授業では気づけなかった、一人一人の発音や音の間違いにも気づくことができたのです。
 
 そんな中で、今年度の音楽科コンサートの中止が決まり、それでも何かできることはないかとのことから、元々、ベートーヴェン生誕250周年の記念年にちなみ、音楽科コンサートの中でご披露するつもりでおりました『合唱幻想曲』を多重録音で収録してはどうかと太田峰夫先生(音楽科長)からのご提案がありました。さらに、及川浩治先生(特任教授)がピアノソロをお引き受けくださるとのことで、私は何か起こりそう・楽しそうとの思いに駆られ、この企画がスタートすることになったのです。

 私にできるのは、【合唱履修生をパート毎にしっかり歌えるようにすること!】
 

対面授業(合唱)の様子

 収録は後期の早い時期に行われることになっていました。前期は一度も対面で授業を行うことは出来ませんでしたから、後期に入るとすぐに指揮者の船橋洋介先生(特任教授)にご指導いただきました。そこでまず印象的だったのは、指揮者の要求に答えようとしている学生たちの姿です。あの手探りの授業の中でここまで歌えるようになるとは驚きました。まさに<水を得た魚>のように歌っているのです。

 
 コロナ禍による遠隔授業という形に、学生たちは大きな負担を感じたことでしょう。通常の対面授業ではその時間を過ごせば終えられるものを、遠隔授業ではリアルタイムで縛られ、授業後には音源を提出しなければならないし、その後更に私から指摘され更に再提出しなければならない、またその先には収録があるのだ!と。
 

「合唱幻想曲」本編動画より スクリーンショット

 私は、遠隔授業には限界があると思っておりましたが、リアルタイム型授業・メール等でのやり取りで、緊張感のある、合理的な授業も可能なのだと知りました。こうして完成したベートヴェン作曲『合唱幻想曲』は大学のホームページからご覧いただくことができます。

「今、音楽と共に生きる」〜音楽を学ぶ学生たち、宮城・仙台からの挑戦〜

 

「合唱幻想曲」メイキング動画より
スクリーンショット

 今回、動画の収録は、主にキャンパス内の大学講堂で行いましたが、宮城学院を離れ、研鑽を積んでいる卒業生がソリストとして参加してくれました。海外から参加してくれた卒業生もいます。この時代だからこそ、実現できたことです。このコロナに悩まされている現状ですが、この状況の中で、宮城学院女子大学音楽科が、このような作品を作り上げられたことに、音楽での世界との繋がり、広がりを実感させてくれました。日本中・世界中に散らばる、宮城学院卒業生からもメッセージをいただいております。

 
 是非一度、学生・卒業生・教職員と素晴らしい客演の方々によります ベートーヴェン作曲『合唱幻想曲』をお聴きいただければと存じます。合唱の男声パートには末光学長・海野理事長にもご参加いただきました。宮城学院が一つになった瞬間をお楽しみいただければと存じます。

 この後も、まだコロナがどうなるかわからない状況下ですが、その時々の状況に合わせ、ここ宮城学院では音楽を続けていくことを模索し、一丸となって音楽活動・教育を進めて参ります。

 今回のコロナは、その道筋・方向性を考えさせる機会を、私に与えてくれました。
皆さんが思い描く将来を、私とご一緒に見つけませんか?

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