現代ビジネス学科の市野澤潤平教授を編著者とする『基本概念から学ぶ観光人類学』(2022年、ナカニシヤ出版)が、観光学術学会の教育・啓蒙著作賞を受賞しました。
本書は、「観光のまなざし」「ホスト/ゲスト」「真正性」などの「基本概念」への理解から出発して、観光人類学の基本的な視角や論点を身に付けることを目指す、学部や修士の学生に向けたテキストブックです。1970年代に始まった観光人類学における学問的伝統・蓄積を踏まえつつも、2022年現在における最新の知見や問題意識も盛り込んだ密度の濃い内容となっています。
序章を含めて全13章からなる本書は、近代観光の成り立ちから今日にかけての進化・展開と、文化人類学における観光の捉え方の変遷とを重ね合わせる形で、アウェイの非日常を楽しむ移動というシンプルな観光スタイルから多様で複雑な観光のあり方へ、読み進めるにつれて観光現象への視野を広げ理解を深めていけるような構成となっています。一方で各章はそれぞれ独立したテーマを扱っているので、興味に応じて特定の章を取り出して読んでも、理解に支障が無いよう、配慮されています。
人類学者が観光について蓄積してきた知見の単なる羅列ではなく、一定のまとまりをもった「学問分野」としての観光人類学の全体像を、学生に見せようとする教育的な工夫が高く評価され、今回の受賞に至りました。
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