【実践研修・現場部】仙台地方裁判所・家庭裁判所を訪問しました

9月10日(水)、2025年度「現場部」の活動として、本学科の2~3年生 20名が仙台地方裁判所・家庭裁判所を訪問しました。

午前中は、地方裁判所を訪問しました。
初めに空き法廷に案内していただき、職員の方から、裁判員裁判、裁判所職員の職務概要などの説明を受けました。さらに、実際に使用している裁判官の法服を身につけ、椅子に座るなど、裁判官、検察官、弁護人、被告人、証人などのそれぞれの視点を体験することができ、様々な方々が関わる刑事裁判への傍聴に対する心構えに結びつきました。
その後、第1回目の刑事裁判を傍聴しました。検察官からの起訴状朗読等冒頭手続、その後犯罪事実の確認、被告人質問等証拠調べ手続、最後に検察官の論告・求刑及び最終弁論という一連の刑事裁判手続でした。
本裁判終了後においては、裁判官の方が学生からの質疑に対して、適正な審理に期するための証拠の種類やその取り扱いについて丁寧に説明いただき、学生にとっては被害者、加害者の心理のみならず裁判を構成する関係者の心理に関心を向けることができる絶好の機会となりました。
地裁1地裁2
午後は、家庭裁判所を訪問しました。
家庭裁判所ではまず、少年審判廷、調査室、調停室、児童室等の施設を家裁調査官の方々に案内していただきました。同じ「裁判所」でも午前中に見学した地方裁判所の法廷と少年審判廷の作りの違いなどを実際に見ることで、7月末の事前学習で学んだ家庭裁判所の機能を改めて身をもって知る機会となりました。
その後、少年審判の動画(ドラマ仕立ての架空事例)をもとに事例検討、家裁調査官役のロールプレイを通して、少年の立ち直りに向けて必要な処遇を考える際に、どのような視点が必要となるのかについて考えを深めることができました。
最後に、家裁調査官と家裁調査官補の方との意見交換会の時間をいただきました。家裁調査官の皆さんには、この仕事を目指すきっかけや、業務の実際、やりがい等、学生からの質問一つ一つに丁寧にお答えいただきました。家裁調査官の仕事についてより深く知る機会となり、学生にとっては地方裁判所及び家庭裁判所の訪問はキャリア教育にもつながりました。
家裁1家裁2

見学終了後は、市民センターで振り返り会を行いました。
学生達は、講義で話に聞いただけではわからないこと、実際に現場を見ることで得られる学びの多さを語りあいました。共有された感想の一部を簡単にご紹介します。

• 地裁と家裁と2カ所訪問したからこそ、その二つの裁判所の違いをより深く知ることができた。
• 初めて裁判を傍聴して、事件についての把握をするために、どんな情報を得なければならないかについて考えさせられた。
• 少年事件の架空事例の検討・ロールプレイを通して、非行少年から話を聞くことの難しさを身をもって学んだ。家裁調査官はやりがいのある仕事だと思った。
• 裁判所で働く様々な立場のかたの活動に触れ、将来の視野を広げることができた。
• 現場部での学びは今しかできない。今後もできる限り参加したいし、みんなにこの良さを広めたい。

夏休み中の貴重な一日。参加学生たちは、本企画に参加して人の心がかかわる現場についての学び深め、これからの大学での学習、そして今後の現場部企画への意欲がますます高めた様子でした。この後、今回の体験をレポートにまとめるという課題がありますが、引き続き頑張ってください。引率教員一同、皆さんの実践的な学びの報告(レポート)を拝読するのを楽しみにしております。

筆末ですが、本見学に際して、大変手厚くご対応くださいました関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。

※写真:裁判所の敷地内は、撮影・録音・録画は禁止ですが、本記事の写真は特別にご許可をいただいて撮影しております。

「現場部」は, “心理学は,机の上だけでは学べない”という本学科のモットーを体現化した企画で,2014年度に当時の在学生の希望で始まりました。さまざまな「現場」に足を運び,自分の目で見て,自分の耳で聞くなど五感をフル活用して現場を感じ,そこから心理学の学びを見出す企画で,「心理学実践研修B」という授業の一部に位置づけられています。本企画以外にもこれまでに,JAXA筑波宇宙センター,松島水族館(現在は閉館),宮城県警察本部,宮城県警察科学捜査研究所,東北少年院,青葉女子学園,仙台鑑別所,新日鐵住金・安全体験教育プログラム,東北電力・女川原子力発電所,人と防災未来センター(神戸市),祈りの杜(尼崎市:福知山線列車事故現場)などを訪れてきました。

(引率:浅野・木野記)