学長講話:大学教育と音楽:中世ヨーロッパから近代日本へ
宮城学院女子大学 学長 芦名定道
6月15日(月)5時限目に設定された「学長講話」(学長による特別講話)で、話をしました。学生に対して、学長としてまとまった学問的な話をするという貴重な機会を与えていただき、一般教育部と音楽科の先生方に感謝いたします。

テーマは、「大学教育と音楽:中世ヨーロッパから近代日本へ」です。これまでさまざまな機会に断片的に考えてきた問題をまとめ、大学と音楽とキリスト教という三者の深い関わりを、歴史的にたどりました。
まず、古代のキリスト教が聖書的ユダヤ教的伝統とギリシア・ローマ文化との双方を土台に成立し、それが教会の典礼、とくに教会音楽のあり方と関係していること、つまり、典礼の統一が教会の統一を意味するものと解釈可能であり、グレゴリオ聖歌の確立がまさに西欧カトリック教会の統一を示していることなどから話を始め、続いて、中世ヨーロッパの大学(12世紀~13世紀)の歴史的位置づけと大学のカリキュラム(リベラルアーツ、自由七科)に音楽が含まれていることの意味へと議論を展開しました。
その上で、明治日本における近代国家形成と音楽教育との関係、音楽教育におけるアメリカ人宣教師の果たした役割(讃美歌から文部省唱歌へ)を論じ、最終的に、「キリスト教と音楽から、日本の近代を見直す」という研究課題に到達しました。
大学と音楽とキリスト教との深い関わりの一端を描き出すことができたでしょうか。今後もこうした「学長講話」が実現することを期待しています。

【演奏曲目】
・マルティン・ルター(1483-1546)単旋律コラール〈神はわがとりで〉
・ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)コラール・カンタータ〈神はわがとりで〉 BWV80
・ヤコポ・ペーリ(1561-1633)オペラ《エウリディーチェ》より メゾ・ソプラノ声楽曲〈私の歌に合わせて喜べ〉
・ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791) 合唱曲〈アヴェ・ヴェルム・コルプス〉 K.618
