石巻市立大原小学校で、栄養バランスと適量を学ぶ「お弁当箱法」を行いました

昨年の8月から石巻市立大原小学校で継続的に学習支援を行ってきたことで、少しずつですが子どもたちが抱えている健康の課題が見えてきました。

震災後、子どもたちの多くが仮設住宅からバスで通学することになったために、放課後に身体を動かして遊ぶ時間が取れず、運動不足となっています。また、以前から食の好き嫌いがあった子どもたちは栄養が偏りがちな上に震災後の運動不足も加わり、肥満傾向にあることが伺えます。そのような現状を踏まえ、学習支援にとどまらず、私たちに出来ることは何かを考え、食品栄養学科の学生を中心に『お弁当箱法』の授業をさせていただきました。
『お弁当箱法』とは、私たちが大学の講義で学んだ食事の指導方法です。主に5つのルールがあり、「自分に合ったお弁当箱を選ぶ」「料理が動かないようにしっかり詰める」「主食3:主菜1:副菜2の表面積比」「同じ調理法のおかずを重ねない」「おいしそうで、きれいなお弁当」を守ることによって、1回の食事の量や栄養バランスについて学ぶものです。

日頃、大原小学校で学習支援を行っている学生たちが集まり、10月に『お弁当箱法プロジェクト』が発足しました。子どもたちにわかりやすくポイントを伝えるために、イラストを多用したパワーポイントで説明すること、『お弁当箱法』実施後も資料として残るように子ども用と保護者用の二種類のリーフレットを作成することなどを決め、準備を進めてきました。また、お弁当に入れるメニューを決める際には、子どもたちにアンケートを実施し、家庭でも簡単に作れるという条件のもと、栄養バランスや彩り等を考慮したメニューを考えました。

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12月14日の『お弁当箱法』当日は、5,6年生と共に調理を行い、その後1~4年生も合流して『お弁当箱法』の授業を行いました。メニューは、「ごはん」「豆腐ハンバーグ」「卵焼き」「ポテトサラダ」「きんぴらごぼう」「ほうれん草のお浸し」です。調理の際には、日常的に家事のお手伝いをしている子どもが率先して調理を行う場面を見られたのと同時に、調理経験がない子どもの活躍も見ることができ、子どもたちの生き生きとした姿に嬉しく感じました。

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 授業では、パワーポイントを用いた指導の後、一人ずつお弁当箱に詰める作業を行いました。子どもたちは、おかずを隙間なく詰める作業に苦労していましたが、学生のサポートによって完成した世界で一つだけのお弁当にとても喜んでいる様子でした。「お弁当箱って、こんなにいっぱい入るんだね!」、「主菜の量って、こんなに少ないんだね!いつも食べ過ぎていたよ。」との声も聞かれ、子どもたちの新たな発見や学びの瞬間に立ち会えたことに感動を覚えました。それと同時に、私たちの伝えたいことが子どもたちの学びたいものへと繋がったことで、やりがいを感じました。後日、学習支援に行った際に、配布したお弁当箱を活用してくれていたり、自分でお弁当を作っている子どもも見受けられ、私たちも授業の意義を実感することができました。

子どもたちには、今回の授業の目的である食事の量と栄養バランスについて身をもって感じてもらうことが出来たのではないかと思っています。しかしながら、余ったおかずをおかわりする子どももおり、適量を教えることの難しさを実感しました。これからも継続的に子どもたちの栄養面をサポートしていくことが必要であると考えると共に、今回は全体へ向けた授業を行いましたが、今後は個々に応じた支援へと繋げていくことが、より効果的であると感じました。

被災した子どもたちへの支援は、継続的に行うことによって見えてくる面もあるので、来年度以降もみんなで積極的に取り組んでいきたいと考えています。

食品栄養学科4年 浅野結子・鈴木結希瑛