7月~8月にかけて、東松島市内の赤井南小学校、宮戸小学校、小野小学校、鳴瀬第一中学校の学習支援に、多くの学生ボランティアが参加しました。
*東松島市立宮戸小学校 活動報告*
8月22日から24日の3日間にかけて東松島市立宮戸小学校を訪問し、子ども達の学習サポートを行いました。
1日目は低学年、2日目は高学年の児童を担当しました。夏休みが終わりかけていた時期だったため、夏休みの課題に取り組んでいた子どもが多かったです。1日目、低学年の児童を担当した時に、「想像の海の生き物」という課題に対して、魚の図鑑を参考にしながらどのような魚を描こうかと吟味する子どももいれば、思い思いに自分の考えたかっこいい海の生き物を画用紙に描いている子どももいました。震災で発生したがれきを処理するドラゴンを描くなどの工夫もみられました。2日目の高学年を担当した時には、皆、友達に会えて、とても嬉しそうな様子でした。
また、私たちを迎えてくださった宮戸小学校の校長先生、教頭先生をはじめ、すべての先生方には大変お世話になりました。3日間のボランティアの日程中、宮戸小学校は最寄りの野蒜駅から距離があるために、移動が大変だという事で、先生方が車で駅に迎えに来て下さいました。道路の走行中に、被災地の現状や被災当時の様子などを詳しく話して下さり、地震による被害がいかに大きかったのかが伝わってきました。またボランティアの最中にも明るくアドバイスをしていただいたため、子ども達と接する時にとても助かりました。
3日間のボランティアを終えて、宮戸小学校の皆さんに挨拶をした後、お礼の言葉をいただき、こちらがボランティアとして伺ったのにもかかわらず宮戸小学校の先生方や児童の皆さんのおかげで元気を分けてもらえたような気がしました。
震災によって受けた被害は建物だけではありません。人の心にも大きな傷跡を残していったと私は思います。このような震災が起こった後、私たちは子どもたちに対してどのような心のケア行うべきか、考えていかなければならないと感じました。今回のボランティアでの経験をこれからの大学生活に生かしていきたいと思います。このような機会を持てた事を本当にうれしく感じます。
今回私たちを温かく迎えてくださった宮戸小学校の先生方、児童の皆さんに本当に感謝しています。どうもありがとうございました。
日本文学科2年 渡邉 麻梨香
*鳴瀬第一中学校 活動報告*
東松島市立鳴瀬第一中学校での4日間の活動を通して一番感じたことは、学校全体の温かな雰囲気でした。この温かさはどこからくるのかと考えてみると、そこには先生方の人柄や生徒たちの素直さがありました。教員を目指す私にとって今回の活動は、理想の学校像、教師像を具体的なものにしてくれました。
活動内容は、夏休み期間に開かれる学習会での勉強をサポートするもので、対象者は受験を控えた中学3年生がほとんどでした。夏休みということもあり、校庭では朝から部活動が行われていました。駅伝の練習や、野球、テニスなど、先生も生徒も一緒になって汗を流している姿が印象的でした。
勉強会が始まる時間まで、私たちは校長室で待たせていただきました。その間、外を生徒たちが登校してくる様子がうかがえました。校長先生は生徒の顔と名前を覚えており、「あの子は~な性格です」とか、「あの子は数学が苦手なんで、よろしくお願いしますね」と、さりげなく紹介してくださいました。私は校長先生が生徒一人ひとりを覚えていることに驚きました。本当に先生と生徒の距離が近い学校だなと感じました。
学習会が始まり、初めて生徒たちと対面したときは、私たちも少し緊張していました。生徒の方も、“知らないお姉さんたちが来たぞ”というような表情で、少し警戒しているようでした。隣に座って勉強を教えたり、休憩時間には雑談などをしたりしてりして、だんだんと距離を縮めていきました。「古代中国王朝名」を“アルプス一万尺”の歌にのせて教えてあげると、「中国語を話しているみたい!お姉さん、本当は中国人でしょ!?」と、時には冗談を交えながら、楽しい雰囲気で学習する場面もありました。
私は数学を中心に教えていきました。中には数学の文章問題が苦手という生徒がおり、“文章”というだけで苦手意識が出てしまうようでした。私も一緒に読みながら一つずつ解いていくと、「読んでみると案外できる問題なんだね!」と言いながら、次々と問題を解いていく様子がうかがえました。生徒本来の力が発揮されているように感じ、私は大変嬉しく思いました。
生徒との距離が近づいてきたところで、終わりの日がやってきました。最終日には、みなさんから寄せ書まで頂き、私たちの乗った車が見えなくなるまで手を振ってくださいました。
東松島市は東日本大震災の被災地であり、鳴瀬第一中学校の 目の前には大きな鳴瀬川が流れています。震災時には、この鳴瀬川のおかげで大きな波は免れたそうです。とはいえ、震災の影響は大きく、まだ傷痕の残る建物をいくつも目にしました。震災から一年以上過ぎていたこともあってか、生徒たちは思っていたより平然としていました。すでに日常を取り戻し、それぞれが自分の進路に向けて歩み始めていたのです。
震災があっても、時は止まってくれません。特に中学三年生の彼らは、来年から環境が変わります。平然としているように見えても、今回の震災で見た故郷の様子は、今でも心に深い傷として残っていることと思います。
鳴瀬第一中学校の先生方の温かさは、積極的に人と関わるところからくるものだと思いました。校長先生をはじめ先生方は、生徒にも私たちに対しても、大変気さくに話しかけてくださいます。職員室内でも笑い声が飛び交っていました。こういったコミュニケーションが密に取られていて、生徒一人ひとりにもきちんと目の行き届いている学校だと強く感じました。そして“先生たちがついている”という強い安心感があるのです。こういった大人たちの存在は、震災を経験した子どもに限らず、どこの学校でも必要なものだと思いました。私も、積極的に人と関わり、先生とも生徒とも信頼関係の築ける先生になりたいと思いました。
食品栄養学科4年 飯塚 仁美