【連載】歌川芳藤「膝の上猫の寿古六」(東京都中央図書館蔵)を読む 其の24
深 澤 昌 夫(日本文学科 教授)

「色喧嘩」
「色」「色事」、つまり恋人・愛人関係にある男女の恋愛や情事に関わる喧嘩、要するに「痴話喧嘩」のことである(子ども向けの双六に「色喧嘩」とは…)。
それにしても、いったい何がきっかけで二人(二匹)は喧嘩になってしまったのか?
直前の「しのびねこ」では、頬かむりをして顔を隠した玉が「ハテ、心がわりじゃな」と、お三毛の変心、裏切りを疑っていた。
なぜかというと、玉が裏木戸で「ゴロニャゴ」と鳴いたら、それを合図におミケが外に出てくる、という段取りになっていたからである。
それなのに、何らかの事情があって、おミケは外に出ることができなかった。あるいは、かなり時間がかかってしまった。
一般に、待たせる方より待つ方が時間の経過が遅くなるという物理法則がある。これを「人を待つこと/待たせることの相対性理論」という(ウソです) 。
というわけで、イライラの募った玉は
「どうして出てこねぇんだ、おミケは。…おせぇ。おせぇよ。まさか、心変わりをしたんじゃ…」。
と、このように、つい余計なことを考えてしまい、おミケと喧嘩になったのだろうと思われる。
つきあっていれば、こういうことはよくありますね。すれ違いの一つや二つ、あるいは痴話喧嘩の一つや二つ。あるいは、発情期の猫が大声で鳴き騒ぐさまが、まるで喧嘩をしているようにも聞こえるかもしれません。
いずれにしても、お互いちょっと頭を冷やす時間が必要。というわけで、このコマに来たら「一回休み」。
でも安心してください(笑) 。次のコマではもう仲直りをしているので。私たちも放っておきましょう。
<其の25へ続く>
