【日本文学会】文学旅行2025に出掛けました

tono2日本文学会の活動の一環として毎年実施している文学旅行。
訪問先は日本文学会企画部の学生が考えます。
今年は6月15日(日)に、岩手県遠野市を訪れることになりました。

今回の文学旅行の目的は、民話のふるさとである遠野市を訪問し、『遠野物語』について学びを深めることです。
そして・・・もう一つの目的は、カッパに出会うことです。

朝8時半に宮城学院を出発し、予定より早く遠野市に到着しました。
大型バスは大層快適な乗り心地、途中休憩のために立ち寄った前沢サービスエリアでは軽く腹ごしらえも。

予定より早く到着したことにより、11時から開始予定の語り部さんによる昔話に間に合いました。快調なスタートです。
まずは昔話を堪能しました。びっき(方言でカエルのこと)の話には昔話に参加していた子どもたちも大喜び。
ステージにはカッパの人形がいて、観客を終始見つめていました。昔話を楽しんだ後は、とおの物語の館を全員で見学しました。

とおの物語の館には昔話を聞くことができる「遠野座」のほかに、柳田國男展示館、旧柳田國男隠居所、そして酒蔵を改装した昔話蔵などがあります。昔話蔵では遠野の民話に加えて、日本の有名な昔話も展示されていましたが、音と映像をふんだんに使った展示が大変面白く、気づけば学生も教職員も長く滞在していたと思います。手をかざすと映像が飛び出す仕掛けが楽しく、何度も手をかざしてしまいました。夢中になっていると、どこからか近づいてくる何かが水中を泳ぐような音。足元に忍び寄ってくる何かの影・・・・・

ちょうどお昼の時間になりましたので、そのあとは昼食を各自で済ませ、それぞれのペースで遠野市立博物館を見学することになりました。
とても暑い一日でしたが、遠野市立博物館だけじゃなく、「こども本の森 遠野」まで足を運んだ学生も多かったようです。

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この「こども本の森 遠野」は、図書館司書の資格取得を目指す学生であれば一度は行ってみたい場所でしょう。
安藤忠雄氏が設計した図書館で、それはもう見事な図書館です。テーマに沿った本の配架の仕方が美しく見事で、図書館そのものがひとつのアート作品のように感じました。天井が高くて開放感があるのもいいなと感じました。色々な椅子が置かれていて、自分にとって座りやすい椅子を探せるのもいいなと思いました。

図書館に入ると受付があり、そこで司書さんに利用の仕方を丁寧に教えていただきました。
帰りには手作りの可愛いお土産をいただき、本当に嬉しかったですね。
可愛いお土産、それは遠野に入ってから何度も見かけているアレ・・・を用いたものでした。

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午後になり、ついに待ちに待った時がやってきました。
カッパとの対面です。

とおの物語の館と遠野市立博物館で学びを深めた我々は、いよいよ伝承園に向かうことになりました。
伝承園の近くに常堅寺というお寺さんがあり、その裏手にカッパ淵があります。常堅寺には至るところに木彫りのカッパが置いてあり、みな一様にこちらを見つめているではないですか。そして、まさかの狛犬がカッパでした。参加した学生たちはその様子がとても面白く感じたようで、皆撮影に興じていました。

カッパ淵には釣り竿が一本仕掛けられていて、先端にはキュウリがぶら下がっていました。
その日は水がたいそう透き通って見えたこともあり、川底もはっきりと見えたのですが、カッパの気配はありません。
どこかに引っ越してしまったのではないか・・・と思った瞬間でした。川の奥のほう、うっそうとした茂みに覆われて陰になった部分に水しぶきが上がったのです。しかも一度だけじゃなく三度も。

stono1カッパから挨拶を頂戴して満足した後は伝承園を見学。
そこにはかつての遠野の風景が広がり、人々の暮らしが再現されているなかに、家族の一員として大事に世話をしていた馬の部屋も展示されていました。
同じ屋根の下で人間と馬が共に暮らしていた遠野にオシラサマの話が誕生したのもわかる気がしました。

伝承園のお土産売り場で『遠野物語』の文庫を購入しようか悩んでいる学生がいるのも日本文学科らしいと思いながら、カッパに別れを告げ、仙台に戻ることになりました。帰りには「道の駅 遠野 風の丘」も経由し、予定通りの時間に宮城学院に帰ってきました。

また訪れたいと思う文学旅行となりましたね。どんどはれ。