日本文学科が開講する「東北の文学・文化・ことば」。
この授業で立ち上げた架空の旅行会社「幽玄会社MTTミヤガク東北トラベル」は、特定のテーマのもとに東北各地へのディープなツアーを企画し、毎年、世の皆様を旅にいざないます。
今年度上半期のテーマは「義経伝説の旅」。源義経には、最期を迎えた平泉から脱出して、さらに北方に逃れたという言い伝えがあります。
なかでも数多くの伝説を残す地が青森県八戸市です。
「社員」一同、事前準備を重ねて、このほど1泊2日の取材旅行に行ってきました。
櫛引八幡宮
出だしは、八戸駅に近い櫛引八幡宮から。ここで国宝・重要文化財の鎧を見学したのち、いよいよ伝説が残る市内スポットへと進みます。
矢止めの清水
着いたのは「矢止めの清水」という場所。義経に命じられて弁慶が放った矢が突き刺さったといわれる地点で、その矢を抜いたところに水が湧き出したという由来があります。人の気配もない川べりの林の中で水が細々としみだす様子に、社員たちはどんな感想を持ったでしょうか。
藤ヶ森稲荷神社
このあと、義経一行をかくまうために木々を植えたとされる長者山、義経が京都の藤森神社を勧請した藤ヶ森稲荷神社、義経の正室が没した地とされるオガミ神社、そして弁慶がつけたという足跡の残る弁慶石を見ながら、三八城公園をめぐりました。
今や大樹に覆われ、はたまた住宅に囲まれ、あるいはビル群が迫る市街地の片隅に、その伝説はひっそりと息づいています。これらを「文学・文化・ことば」を通した東北の観光情報としてどのように表現していくのか、そこは優秀な当社社員の腕の見せどころです。
二日目の早朝は、全国最大級の朝市とも言われる館鼻岸壁朝市の見学です。隅々までつぶさに観察したことで、作成する観光ガイドブックの内容に一層の広がりを出すことができそうです。この日も義経の先導のもと、伝説の地の踏査は続き、さらに各所へと入り込んでいきました。
種差海岸
熊野神社
義経をかくまったことが由来とされる地名「源氏囲内」が残る白銀(しろがね)地区、義経上陸の地と伝えられる種差海岸から熊野神社を踏査して、義経伝説のルートを丁寧に記録し、丹念に写真に収めていきました。さらに、義経が最初に住んだ「舘越」のほか、その後に居住したとされる「高館(たかだち)」などを訪ねました。
大学に戻り、社員たちは、今回の現地取材をもとにして早速パンフレット本文の作成を開始しました。
さあ、年度末にはどのような冊子ができあがるでしょうか。完成をいちばん心待ちにしているのは源義経かもしれません。
文責・志村