日本文学科では今年度、「やさしい日本語」で読み物作成プロジェクトを実施しています。「やさしい日本語」で読みものを作成する基本的な考え方と技術を身に付けるため、7月に第1回目となるオンライン特別セミナー(入門編)を開催しましたが、この度、9月23日に第2回目のワークショップを開催することになりました。
今回は第2回目のワークショップの報告をいたします。日本文学科の1年生から4年生まで20名ほどのメンバーが集まり、前回と同様、NPO多言語多読理事長の粟野真紀子先生を講師にお招きして、実践的なワークを行いました。
第1回目のワークショップでは、イソップ物語の「アリとキリギリス」を題材に、レベル1への書き換えを行いましたが、今回は、絵本作家わたなべゆきこさんからご提供いただいた絵本「たいようくんとみらいのまち」をグループで分担してレベル3(日本語学習者のレベルでいうと、初中級レベル)を目安に書き換えるというワークを行いました。夏休み中の課題として学生一人一人が書き換えていたものを持ち寄り、よりよい書き換えのアイデアを出し合いました。そして、グループごとの発表と粟野先生からの詳しい講評という内容でした。
短い時間のワークショップではありましたが、各グループ集中してより良い書き換え案を模索したことがよくわかる、随所に工夫がよく見られる発表内容でした。最後には、粟野先生ならばどのように書き換えるか?という一例をお見せいただきました。
学生のコメントを一部紹介します。短時間ではありましたが、集中して取り組んだからこその充実した学びがあったことがわかりました。多様な考え方を知り、そこからより良いアイデアを出し合うグループワークも非常に効果的であったようです。絵本を提供してくださった、わたなべゆきこさん、書き換えの指導を行ってくださった、粟野真紀子先生、どうもありがとうございました!
【学生の感想例】
・話し合いなども先輩方が進めてくださり、どのようにリライトしていくかを知ることができました。自分だけでは思いつかなかった表現が多くあり、すごいと思いました。今後も対象者に合わせた表現ができるように考えていきたいです。(1年生Aさん)
・ワークショップでは「やさしい日本語」についての知識はもちろん、グループでリライト活動をしたことが良い経験になりました。母語をレベルに合わせて言い換えたり簡単にするという作業は想像よりもずっと難しいと感じましたが、先生やグループの人たちの意見やアドバイスを受けて日本語に対するときの視野が広くなったように感じました。(2年生Bさん)
・第1回目では文法への配慮や問いと質問の関係について学んだことをよく覚えています。文と文、セリフとセリフの並びが適切か、飛躍していないか、注意するきっかけになりました。
今回の第2回目ではどうにも言い換えのできない語彙をどう読み手に伝えるか、どうしたら読み手に伝わるかを吟味しました。粟野さんのリライト案を読んで、レベル4以上の語彙でも文章の中で説明せずとも使える場合があることがわかり、大きな学びになりました。(3年生Cさん)
・グループ全体を見て、やさしい日本語でいう「優しさ」の認識の違いが印象的でした。先生が、平仮名で統一したリライトに対して「漢字表記の苦手な外国人にやさしい日本語」とおっしゃっていたように、いろんな形の優しさがありました。やさしい日本語がこうでなければならないという規則がないからこそ、工夫すればするほどより多くの人にとっての優しさに近づくことができるのだなと実感しました。(4年生Dさん)