初夏を思わせる陽気の中、日本文学科では1年生全員で恒例の「日本文学基礎演習研修旅行」に出かけてきました。昨年度までは世界遺産である平泉を訪れておりましたが、今年度から行き先を一新し、盛岡・角館を巡りながら博物館や文学館、そして武家屋敷などを見学してきました。
初日である6月6日には、一関市博物館、宮沢賢治記念館、そして石川啄木めぐりと題して、啄木記念館、旧渋民尋常小学校、宝徳寺を見学しました。かつて修学旅行などで訪れたことのある学生も多い場所ですが、日本文学科の学生として新たな視点で見学することにより、更なる発見や驚きがありました。また、宮沢賢治や石川啄木を好む学生にとっては、大変興味深い場所となりました。
鶯宿温泉で一泊し、2日目は角館に入りました。最初バスの中から見た桜の名所でもある角館は、目を奪われるほどのみずみずしい青葉に覆われておりました。武家屋敷と緑のコントラストが非常に美しく、早くバスから降りたいという気持ちに駆られました。
青柳家を全員で見学した後は、各自自由散策となりました。この研修旅行で収集した情報や材料を使い、先日ホームページでお知らせした誌面作りを学生たちが行います。そのため、初日も2日目も学生たちが取材を行ったり、材料を集めたり、記事を書いている様子があちこちで見られました。とはいえ息抜きも大事。本来この研修旅行は、歴史や文学を学ぶだけでなく、これを機会に交流の輪を広げ、新しい世界を広げることも目的としております。学生たちは勉強しながらも、地元の美味しい食事やデザートに舌鼓も打ち、新しい友人を作ったり、興味を持てる対象と出会ったりしたようです。
2日間はあっという間に過ぎ、気付けば大学に戻っておりました。これから季節は夏を迎えます。この研修旅行での経験が、今後の学生生活にどのように活かされていくのか。期待したいと思います。そして、前回からお知らせしている誌面作りは、果たしてどのようなことになるのか。引き続き報告していきますので、ご期待ください。
最後に、今回の研修旅行の感想をご紹介いたします。ご覧ください。
一泊二日という短い時間で、様々なものを学べたこの研修旅行は、非常に濃密であった。
野外活動などでも行ったことがあるし、親の実家があるため、今まで岩手には何度も行ったことがあるのだが、今回の研修旅行では、岩手の新たな一面を発見することができた。
今回、最も印象に残ったのは、石川啄木記念館である。その名前と、「一握の砂を書いた人」という知識こそあったものの、その他に関する知識は皆無であった。しかし、彼の私物、原稿、借用証を見たことで、その人物像や生活様式などの石川啄木に関する知識を深めることができた。また、記念館の入口に入ってすぐに啄木の等身大のマネキンがあったのだが、意外にも彼の背が低いのには驚いた。彼が学を修めたという渋民小学校にも入ったのだが、現代と違う部分が多く、当時の人々の文化にも触れることができた。
この旅行を通して、文学の知識を得るとともに文学を学ぶ意欲を掻き立てられた。これからはより積極的に文学と向き合っていこうと思う。(M・Tさん)
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今回の研修旅行は私の出身地である秋田県に行くということで、とても楽しみにしていました。そして当日、私は武家屋敷の凛とした佇まいと壮大さに圧倒されました。その中でも特に印象に残ったのは青柳家母屋です。そこは、二百年前の建築がそのまま残されており、当時の武家の威厳のようなものが感じられ、背筋が伸びる思いでした。
今回、武家屋敷を散策し、ここでは当時の武家の人々の歴史が今もなお生きているんだと感じました。家宝や武具といった誉れの象徴から、武士の日常生活に触れられる武家道具に至るまで、全てのものが現代へと武士たちの精神を伝えているようでした。また、私の地元秋田県にはこんなに素晴らしい歴史の産物があるんだと誇らしげな気持ちにもなりました。
当時の武士たちから学んだ武士の精神、そこには現代にも通ずるものがあります。これから先も日本人が武士の心を忘れないよう、今回の研修旅行で学んだことを、後世にも伝えていきたいです。(H・Hさん)