いまこそ「よむ本」:ディズニーランドという聖地

2021.02.12


 
学芸学部英文学科 清水 菜穂 教授 [教員プロフィール]
 

 日本中の子供たちや若者たちに大人気の東京ディズニーランド。「お休みになったら、また行きたい!みんなで一緒に楽しみたい!」と思っている人は多いことでしょう。でもこの新型コロナ感染による自粛状況では、なかなかその願いは叶えられそうもないのは残念ですね。

 ディズニーランドに行きたくても行けない今、この「夢と魔法の王国」についていろいろと知識を増やしてみませんか?そもそもディズニーランドっていつ頃、誰が、どんな目的で開園したのでしょうか?当初のアトラクションはいくつくらいあったのでしょうか?日本のディズニーランドはいつ、どんなふうにできたのでしょうか?ここでおすすめする『ディズニーランドという聖地』という本は、まさにこうした疑問に答えてくれます。

 でも、タイトルの「聖地」とはどういうこと?「聖なる地」などという宗教的な意味合いを含む言葉は「ディズニーランドには似合わない!」と思うかもしれませんが、実はこの「聖地」という語こそ、この本のもっとも主張したいことなのです。

 著者の東京大学名誉教授の能登路雅子さんは、カリフォルニアのディズニーランドの運営会社ウォルト・ディズニー・プロダクションで仕事をし、その後東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド社では嘱託としてそのオープンに携わりました。ディズニーランドの内部での実体験と、研究者としての客観的な観察という二つの側面から得られた著者の知見は、ディズニーランドが単なるエンターテインメントというよりも、アメリカ文化そのものであり、アメリカ社会を色濃く映しだす鏡のような存在だということを教えてくれるでしょう。

 本書は手軽で読みやすい新書版という体裁をとっていますが、その内容はとても充実しており、ディズニーランドの魅力の秘密を確実に私たちに伝えてくれます。今から30年以上前に書かれたにもかかわらず、この本はいまだに出版され続けているのがその証拠です。

 この本を読んだ後、きっと皆さんはディズニーランドの新たな魅力を発見することでしょう。そして次にディズニーランドを訪れるとき、ディズニーランドはこれまでと違う姿で皆さんの前に現れるでしょう。

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