2013年度食品栄養学科リエゾン講座「スポーツ現場に求められる管理栄養士とは?」を開催しました

この講座は、現職者(管理栄養士)と学生を「つなぐ」ために、ひとつの課題を通して、共に学び、語り合い、学問知(大学で学ぶ基礎理論)と臨床知(職業現場で身につける実践力)の融合の場として毎年開催しています。今年度は、2020年の東京オリンピック開催決定もあり、さらにニーズが高まると予想される「スポーツ栄養」をテーマに、2013年12月21日(土)に開催し、53名が参加しました。

 

最初に主催者より「公認スポーツ栄養士」の養成制度についての説明を行いました。管理栄養士であることや、実際にアスリートの栄養サポートを行っていること、資格取得後はスポーツ栄養士としてセミナーや栄養サポートを積極的に行いながら、新しい知識を習得するために引き続き講座を受講する必要があることなどを伝えたところ、取得が難しい資格であることに皆驚いている様子でした。
その後、特別講師のウィダートレーニングラボ管理栄養士の清野隼氏より、「スポーツの現場で働くということ」というテーマで、実際のスポーツ選手をサポートするために必要な知識や経験についての講演がありました。スポーツ現場を彷彿とさせる清野氏のスピード感と躍動感に溢れる話に皆引き込まれ、あっという間の90分でした。そして参加者はそれまで曖昧だった「スポーツ栄養士」という存在が、栄養だけではなく、競技特性はもちろん、トレーニングの意義や、他のスタッフの役割も認識していないとできない仕事であることがよく理解できたようでした。

 

講演の後は、6~7名程度の小グループに分かれて、それぞれに与えられたテーマに基づき、求められるスポーツ栄養士像について話し合いました。グループの発表の際には、清野氏よりグループごとにコメントや質問があったため、さらに各自の考えを深める有意義なディスカッションとなりました。

 

講座終了後のアンケートからいくつか紹介すると、「栄養士としてではなく、スポーツ従事者として責任と覚悟を持って行うことが大切だとわかった」「スポーツ栄養士の難しさや厳しさも感じたが、より興味がわいた」「『学生としての残された時間で何をするのか』『アスリートに対して1人のファンとして見ないでほしい』などの言葉から、自分が今まで考えていたスポーツ栄養士の仕事とは違うと考えさせられた。指導にあたって栄養の分野だけでなく、指導するアスリートの専門分野や選手、コーチを理解しているか、そして彼らとのコミュニケーションが大切なのだと知ることができた」(原文まま)など、厳しい現実に臆することなく、逆に大きな刺激となったようでした。
参加者はそれぞれ、トップアスリートをサポートすることを目標に、厳しく険しいスポーツ栄養士の道のりを目指すことを決意した1日となりました。この中から2020年の東京オリンピックに出場する選手を支えるスポーツ栄養士が現れることを願います。 

(文責:丹野久美子)