教員のリレーエッセイ:人間文化学科 教授 八木祐子

「変わるインド社会と女性」
ナマステ(こんにちは)!人間文化学科の八木祐子です。私の専門は文化人類学です。北インド農村をフィールドとして、ジェンダーや社会変化について研究しています。

最初にインドを訪れたのは大学3年生の時で、友人と2人、55日間、北インドやネパールを旅しました。その旅でたまたま出会った方の農村に、大学院から通い始め、そこが私の調査地となり、もう40年以上の月日が経ちました。今や、グローバル・サウスのリーダーとなったインドですが、とくに2000年代後半以降、消費社会化が進み、様々な面で変化がおこっています。都市では、ショッピングモールが立ち並び、オシャレなカフェが増えています。かつて、ヒンドゥー教の聖地ベナレスからバスを乗り継ぎ、7時間かかってたどり着いた調査地の村は、今では車で3時間ほどで到着します。

 

なかでも、調査地でとくに大きく変わったと思うのは、ジェンダー関係です。1990年代頃までの「伝統的」な北インド農村では、「男の世界」と「女の世界」が分離していました。夫と妻であっても、人前で男性と女性が話をすることは少なく、一緒に写真を撮ることも恥ずかしいことだと思われてきました。70代以上の女性は、10代半ばで結婚し、小学校も出てない人がほとんどです。大家族のなかで、姑に使え、里帰りもままならないなか、7~8人の多くの子どもを育ててきました。その娘や息子の嫁にあたる40代以下の女性たちは高校を卒業し、20代半ばで結婚して、子どもの数も2~3人です。スマホをもち、ガスコンロや圧力釜、ミキサーなども使って家事をする世代です。実家へ頻繁に行き来するだけでなく、デリーなどに家族旅行もします。夫婦で親しく話し、一緒に行動するのはもちろん、子どもの教育についても話し合います。結婚後も、看護師として働く女性たちもいます。あきらかに、農村を取り巻く環境が変わり、それにともないジェンダー規範も大きく変化しています。

授業では、インドを中心に、ダイナミックに動く南アジア世界について、様々な観点から講義しています。今年の12月には、7回目のインド実習を予定しています。頭のやわらかい大学生のうちに、アジアを旅してみませんか。自分の知らない新しい世界が開けると思います。

飛び出せ!世界へ!地球がきみのフィールドだ!

 

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