教員のリレーエッセイ:日本文学科 准教授 堀田智子

こんにちは。日本文学科の堀田智子です。東京で生まれ、関西で大学・会社員・日本語教員生活を過ごした後、オーストラリアを経て仙台にやってきました。祖父母が初めて出会った仙台で、また、大学院生時代にお世話になった先生方がかつて勤務された宮城学院女子大学で、新たな一歩を踏み出せたことを嬉しく思っています。

 

私が関心をもっているのは、外国語としての日本語コミュニケーション、特に「話す」ことです。「話す」と一口にいっても、公的な場なのか私的な場なのか、雑談なのか議論なのか、また、相手との関係性など状況は様々で、その時々に合わせて話し方を調整しなければならないことがよくあります。例えば、「この服、かわいいよね。」という感想に賛同できないときに「いや、かわいくないよ。」と言うこともできますが、相手によっては「そう?」と聞き返したり、「デザインはいいけど、色がね…。」と部分的に肯定したり、伝え方を工夫することも多いと思います。

 

このように、情報の伝達と聞き手への配慮のバランスを取りながら会話を進めることは、母語話者にとってはもちろん、外国語として学ぶ人達にとってはなおさら容易なことではありません。そしてその習得には、文法力だけでなく、学習者自身の言語・文化、目標言語・文化に対する固定観念、指導や教材など複数の要因が影響します。単語も文法も発音も、敬語の使い方が「正しい」としても、状況によっては「ふさわしい」と言えないかもしれません。

 

自分自身や周りの人の話し方、学校やお店での日常的なやりとり、マスメディアで話題の人たちの様々なコミュニケーションを観察してみると、きっとおもしろい発見があります。そして、その背景を探ると、ことばと文化・社会との結びつきを実感することでしょう。日本語コミュニケーションの多様性について、いっしょに考えてみませんか。

 

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