教員のリレーエッセイ:教育学科 准教授 藤崎さなえ

児童教育専攻教員の藤崎です。私が担当する授業は英語科目です。将来、小・中学校の教員として英語の授業を行う際に必要なスキルを習得する科目を担当しています。同時に、学生自身の英語運用能力、つまり「英語を知っている」だけではなく、「英語を使える」ことができる能力を向上させるための授業を行なっています。

私の研究は、英語を用いたクリティカルシンキング(Critical Thinking: CT)です。日本ではまだあまり馴染みがないCTですが、これを簡単に説明すると「情報を鵜呑みにせず、物事を多方面から判断する思考力」です。この思考力は、欧米では就職採用試験に出るほどよく知られています。

しかし、OECD(経済協力開発機構)が2018年に行ったTALIS2018という、46カ国の中学校教員を対象にしたアンケート調査の結果、なんと日本は最下位でした! これは、二つの質問「CTを必要とする授業をしているか/課題を出しているか?」にYes, Noで答えるという調査でした。この結果が示す様に、日本ではまだ使用頻度の低いCTの育成を目的とする授業を行っています。

まず、英語読解授業では、CTを使って筆者の意図を読み解くスキルを育成しています。ワークシートを用いて、筆者の主張・論調・根拠・行間を読む、といった点に注目する質問項目に答えていきます。教材は、日本と海外の複数のメディア(ほとんどが新聞社)によって書かれた、同じトピックに関する英文記事を用い、これらを比較します。各記事の主張や視点の相違点、類似点、その理由をグループ毎に読解し、発表してもらいます。欧米のメディアによって書かれた記事と比較すると、国内のメディアのみによって書かれた記事の比較読解より、相違点がはっきりとわかります。

筆者の意図を理解する為に、事実と意見の違い・メディアリタラシー・特にメディアの政治的立場の違いに関しても学習します。これまで読んだテーマは、#Me, too運動、日本の男女平等、夫婦別姓、同性婚などです。記事に書いてある文章を全て事実と鵜呑みにせず、筆者の意図を読み取るスキルを習得し、社会人になっても必須なCTを身に付けます。Let’s be a critical thinker!

 

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