私は、本年(2023年)4月1日から心理行動科学科において「犯罪心理学」を担当している浅野晴哉と申します。「教員のリレーエッセイ」は初めてになり、また、本学で初めての開講となるゼミですので、簡単に自己紹介をいたします。
私は、宮城県警察および児童相談所において心理職をしておりました。警察では殺人事件が発生すると一刻も早くご遺族の元に駆け付け、ご遺体との対面からその後の刑事裁判において一緒に傍聴するなどご遺族の視点に立った支援を心掛けておりました。児童相談所では加害少年等への再非行抑止や虐待を受けた被害児童の心理カウンセリングを担当しました。一方、犯罪という凄惨な現場で活躍する警察職員は大きなストレスを抱えるため、そのメンタルヘルスの仕事もしておりました。実は、これが犯罪心理学をいかした仕事です。幅が広く、かつ、奥が深いと感じてもらえたでしょうか。
現在は、学生との対話を重視しております。理由は、犯罪は社会との関係で変化するため、青年期における犯罪や被害を考察するには学生の考えが非常に参考になります。ゼミの学生の感想は、「警察の現場を織り交ぜながら話をしてくださるのでとても分かりやすい」、「事件ニュースの裏側や実際の犯罪被害者へのサポート内容を知れて良かった」、「胸が痛くなることもありますが、自分たちが加害者にも被害者にもならないようにしっかりと学びたい」など。このように本学生は、現場という実社会で通用する知性の習得を目指しております。そのため、私は、将来学生が犯罪に挑む現場において貢献できように、現場で蓄積した知見を踏まえた犯罪心理学について学生との対話を重ねております。また、学生は「裁判を傍聴したい」と司法・犯罪領域について幅広い関心を持っております。
先日、光栄にも宮城県警察から宮城県警察犯罪被害者部外専門相談指導員(スーパーバイザー)に委嘱いただきました。大学教育として学生の要請に応えるため、宮城県警察をはじめ関係機関の方々とのつながりにより、私以外の司法・犯罪領域で活躍する方の現場の声を学生に届けることも大切にしたいと考えております。
(写真:委嘱状を受けて…写真後列は宮城県警察本部・犯罪被害者支援室員の方々、前列右は大橋智樹教授)
ぜひ皆さまと共に本学で犯罪心理学について対話を重ね、社会貢献できる新たな視座を見出していきたいと考えています。お会いできることを願っております。
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