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教員のリレーエッセイ:一般教育部 准教授 木口 寛久

2021.02.15

 みなさん、こんにちは。一般教育部の木口寛久です。私の研究分野は英語学で、大学では主に英語の授業を受け持っています。さて、今回は最近携わった翻訳の仕事についてお話ししましょう。数年前のある日、面識のない方からのEメールが飛び込んできました。何でも「この度、『英文法大事典』シリーズというthe Cambridge Grammar of English Languageの日本語翻訳版を出版することになったので、協力してほしい」とのことでした。the Cambridge Grammar of English Languageは、英語のネイティブスピーカー向けに書かれた現在世界最高レベルと言われる包括的な英文法書で、全20章1860ページからなる大著です。(写真参照)


the Cambridge Grammar of
English Languageの原本です。
編集委員長の計測によると
重さ3.1kgだそうです。

 まあ、このメールをくださった方が『英文法大事典』シリーズの編集委員長だったわけですが。経緯をご説明いただき、「木口さんには原本の第4章と第8章の約230ページからなる第2巻の責任翻訳者を担当してもらいたい」ということで、せっかくの機会なのでお引き受けすることにしました。さっそく、首都圏の大学で研究している数名の後輩に声をかけ、5名編成のチームを結成し、某SNSを用いて打ち合わせをしながら翻訳作業を進めることにしました。(この時の経験が、まさか後に大学でのインターネットを使った遠隔授業に活きるとはゆめにも思いませんでした)
 


こちらが訳書です。
500ページ越えの書籍になりました。
和訳をすると原本の倍以上に
分量がふくれ上がります。

 責任翻訳者ということで自らの分担箇所の翻訳をしながら、後輩たちの原稿のチェックも行わなければなりませんでした。さらにでき上った原稿は監訳者の先生方に提出し、そこで厳しいチェックを受けることになりました。そして監訳者の先生方から“真っ赤になって”戻って来た原稿を再度分担して改訂するという作業を継続し、約3年がかりでようやく出版にこぎつけました。そのときの達成感はことばでは言い尽くせませんし、責任翻訳者という形でリーダーシップをとりながら1冊の本を執筆し出版するということは自分自身にとっても貴重な経験でした。
 

 そうそう、最後に編集委員長に、「なぜ、面識もない私に今回、白羽の矢を立ててくださったのですか?」とお聞きしたところ、「木口さんが、いろいろな方面で研究を精力的に行われていたのをずっと知っていたからです」という嬉しいお答えでした。
 普段の努力を、見てくれている人は見てくれているものですよ!

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