教員のリレーエッセイ:教育学部 教育学科 教授 足立 智昭

教育学科の足立です。このリレーエッセイを書かせていただくのは、2008年9月以来、12年ぶりです。その際、書かせていただいたのは、私が理事をしている「NPOワンダーポケット」の活動でした。このNPOは、病気の子どもと家族を支援するために設立されたもので、現在も活発に事業が展開されています。こども病院などでボランティアをやっていますので、関心のある学生さんは声を掛けて下さいね。

さて、本日紹介するのは、もう一つ、私が代表理事をしている「一般社団法人東日本大震災子ども・若者支援センター」です。このセンターは、震災があった2011年9月、本学の発達科学研究所、国際基督教大学高等臨床心理学研究所、熊本大学医学部精神看護チームの3者で設立したもので、被災地の皆様の心の復興を支援してきました。2018年度からは、一般社団法人化し、医療、福祉、心理の専門家と総合的な支援を行っています。

その活動して、毎年夏に実施しているのが「未来ワカモノ会議」です。昨年の会議には、岩手、宮城、福島から、震災当時小中学生であった高校生、大学生約20名が参加しました。震災当時の経験を仲間とともに振り返りながら、これからどのように積極的に生きていくか、ワークショップを通して熱く語りあいました。

参加者からは、さまざまな感想をいただきましたが、以下、中学1年生の時に被災した大学生の感想を紹介します。

「今まであまりほかの地域の同世代の人達の話を聞く機会があまりなかったし、自分たちが話すほうが多かったのですが、今回は同世代の人達の話や、いろいろな人の話を聞くことができたのでよかったです。いつもより長い時間があり、たくさん交流することができたし、仲良くなれたからこそ、いろいろなことを話すことができたと思います。今回は震災のことだけでなく、将来についても考える機会になりました。」

この感想にあるように、震災は若者にとって人生の大きな出来事でしたが、いつまでもそこに留まる所ではなく、未来に連なる人生の重要なターニングポイントであったと考えられます。また、彼らの会話から、そのターニングポイントにおける重要な他者との出会いが彼らの成長に欠かせない要因であったことも知ることができました。震災から9年余りの月日が流れました。皆さんも語りたいことがありましたら、ぜひこの会議に参加して下さい。