幼児教育専攻の教員が、リレー方式で担当している附属森のこども園の園だより6月号のコラムを紹介させていただきます。6月号は、伊藤哲章先生のコラムです。
子どもの声から始まる毎日 ~スウェーデンの就学前学校を訪ねて~
今年2月、学生たちと共にスウェーデンの就学前学校(フォーシュコーラ)を視察してまいりました。今回は、現地の先生方から伺ったお話や見学を通して学んだ、北欧の幼児教育の素晴らしい取り組みを皆様にご紹介したいと思います。
スウェーデンでは、「教育」と「保育」が一体化した「エデュケア」というモデルが実践されています。中でも印象的だったのは、幼い頃から「子どもの権利」と「民主主義の価値観」を日々の生活の中で大切に育んでいる点です。朝のフルーツ選びや読む絵本の決定、さらには遊びのルール決めに至るまで、大人が一方的に決めるのではなく、子ども自身の声を聴き、話し合いや多数決で決める機会が多く設けられていました。「男の子・女の子」といった固定観念にとらわれず、一人ひとりの個性を尊重する姿勢が根付いています。
もう一つの大きな特徴は、自然の中で活動する「野外ライフ(フリルフツリヴ)」です。現地には「天気が悪いのではない、服装が悪いだけ」という言葉があり、雨や雪の日でも子どもたちは森に出かけます。倒木や大岩を何かに見立てて遊んだり、動物のフンを見つけて「何を食べているのかな」「土に植えたら何がでてくるかな」と命の循環を学んだりと、自然が五感を刺激する最高の教室になっていました。野外での活動は、集中力や学習意欲の向上、自己肯定感の育成、心身のストレス軽減など数多くのメリットがあることも研究で示されています。
現地の先生の「社会を変えようと思ったら、まずは子どもから」という言葉が、今も私の胸に深く響いています。未来の社会をつくるのは、他でもない目の前の子どもたちです。今回の視察で得た知見をこれからの保育者養成や研究に活かすとともに、森のこども園の先生方と手を取り合いながら、子どもたちが自ら考え行動できる豊かな育ちの環境について、これからも探究し、地域に還元していきたいと考えております。
宮城学院女子大学 教育学部 教育学科 幼児教育専攻 伊藤 哲章

