附属森のこども園の園だより:3月号のコラム紹介

幼児教育専攻の教員が、リレー方式で担当している附属森のこども園の園だより3月号のコラムを紹介させていただきます。3月号は、石川隆先生のコラムです。

親子で共同制作

子どもの造形活動は一人ずつ個別のものになるのが一般的です。そして保育者、保護者の皆さんはそれを見守ったり、アドバイスしたり、必要に応じて援助したりするスタイルになります。しかし、今回紹介させていただく造形活動は、保育者や保護者が積極的に参加し、作品制作に直接的に介入していくものです。

題材名は「積み木貼り絵」と言います。 材料としては、3色(赤、青、黄など)の色画用紙で一辺が3センチの正三角形と正方形をそれぞれ5~6枚ずつ用意します。制作方法は、まず台紙(八つ切り程度の画用紙または色画用紙)の真ん中あたりに1枚の正方形か正三角形を糊で貼り付けます。次に、子どもと保育者あるいは保護者が交互に好きな色の正三角形または正方形を繋げて貼っていきます。正三角形と正方形はそれぞれ辺の長さが等しく3センチなので積み木を繋げるように貼り進めていくことができます。そして正三角形と正方形を繋げたかたまりは徐々に大きくなっていきます。ここで一つ条件を設定します。作品のテーマを「正体不明のかたまり」としてください。もし貼り進めていくうちに具体的な何らかの形(ネコ、馬、かえるなど)になりそうになったら、そうならないようにお互いに気をつけながら貼り進めるようにしていただき、あくまでも「正体不明のかたまり」を完成させていただきたいのです。

余白とのバランスを考慮しながら、画面が窮屈にならない程度のところで貼り進めるのを止めて、子どもと一緒に出来た「正体不明のかたまり」を眺めてください。そして何に見えるか副題を付けてください。子ども、保育者、保護者が感じたままをそのまま副題として画面の右下にメモします。副題はいくつあってもかまいません。一通り副題が出尽くしたら、画面を90度回転させてみます。そうするとかたまりの見え方が変わり、回転させる前の副題とは違う副題が付けられるかもしれません。思いついた副題はまた画面の右下にメモしておきます。この作業をあと2回、合計4回行います。それぞれの角度でかたまりを眺めて、できるだけたくさんの副題を頭の中から絞り出します。この作業は造形活動としては少しかけ離れている活動のように感じますが、立派な造形表現活動であると私は思います。最終段階として、たくさん絞り出された副題の中から、子どもと保育者あるいは保護者が話し合って、良いと思うものをいくつか絞り込んでいってください。一つに絞り込むことが難しければ複数でも構いません。このように話し合って副題を絞り込んでいくのも立派な造形表現活動であると思います。

何かテーマを決めて制作を始める本来の制作方法とは全く異なるやり方ですが、大人も子どもも上手、下手を気にせず、二人でゲームをして遊ぶような感覚で楽しむことができる造形活動です。お互いに相手がどんな副題を絞り出してくるのかワクワク感を味わうこともできます。近年、保育者も保護者の皆さんも、忙しくてなかなか子どもと遊ぶ時間が取れないのが現状ですが、さほど時間もかかりませんので、少しの時間を利用して、積み木貼り絵の共同制作を行って、子どもの成長記録として、あるいは子どもとのコミュニケーションの記録として残していってはいかがでしょうか。ちなみにこの共同制作は3人以上で行うことも可能です。また正三角形と正方形を色画用紙ではなく、100円ショップで売っている、カラーマグネットシートで作ると、ホワイトボードに張り付けて行うことも可能です。

教育学部幼児教育専攻 石川隆

画像4