OG/社会人向けリカレント教育プログラム  第1回講座『世代を超えた音紡ぎ』を開催しました

OG/社会人向けリカレント教育プログラム

「ライフ・キャリアを創る」連続講座-第1回講演「世代を超えた音紡ぎ」-

宮城学院卒業生/社会人に向けた「リカレント(学び直し)」の場として,「ライフ・キャリアを創る」をテーマに4回の連続講座を開催いたします。その第1回講座が2024年7月13日に行われ,宮城学院のご卒業生やご家族など,20代から80代まで26名の方々にお集りいただきました。お暑い中ご参加いただきました皆さま,ありがとうございました。

はじめに、丹野久美子キャリア支援部長による開会の挨拶。「卒業したみなさま。社会人のみなさま。大学に,そして桜ヶ丘キャンパスの美しい中庭を見にいらっしゃいませんか(丹野キャリア支援部長/食品栄養学科 准教授)」

「卒業したみなさま。久しぶりの大学に,そして桜ヶ丘キャンパスの美しい中庭を見にいらっしゃいませんか(丹野キャリア支援部長/食品栄養学科 准教授)」

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リカレント教育はエンパワーメント

続いて長谷部弘学長からお話しいただきました。リカレントとは,「カレント=今」を、「リ=もう一度繰り返す」という意味です。大学は常に新しい知を求める最先端の研究の世界です。学窓を離れた後にそのもっとも新しい学知の世界に触れて学び直すことによって,知的にリフレッシュをして社会で頑張っていきましょう。 技術的な学び直しであるリスキリングだけでなくもっと根本的な,生きることに結びついた知を極めることが理想です。女子教育においては,社会に奉仕する女性をエンパワーメントするもの,それがリカレント教育です。

宮城学院の出発点は,初代校長プールボー先生のすすめられたキリスト教の福音宣教と女子教育でした。130年を経ても,日本社会における女性のおかれた状況は驚くほど変わっていません。そこで,宮城学院に集う学生にも社会に対しても奉仕し,女性をエンパワーするようなジェンダーの専門センターが間もなく立ち上がります。宮城学院がこの地で女子教育をしていくうえで象徴的な活動がリカレント教育プログラム,そのキックオフが今回の連続講座です。どうぞ楽しんでください。

宮城学院のリカレント教育について受講者にお話しする長谷部弘学長(左)

宮城学院女子大学のジェンダー教育、リカレント教育について話しをする長谷部弘学長

長谷部先生2

 

 

 

 

 

「何気ない日常と私たちを取り巻く世界が紡ぐ音。耳を傾け、思いを巡らせてみよう。」

大内典副学長が『河北新報』で担当された連載エッセイ「音紡ぎ」。そこで語られたのは,明治・大正・昭和という時代の流れのなかで,ひたすらに耐えて力強く生き抜く「祖母」の姿。そして,時代や価値観の違いを感じながらも祖母の人生を受け入れていった「母」の姿でした。

毎日曜日の朝の連載エッセイを終えられた今。今講演では3つのエッセイが取り上げられ,世代を超えて生きてきた女性たちがそれぞれの置かれた時代背景の中で感じ悩んでいたこと,そして,それを超えて生まれる柔らかな人のつながりや,生きる力を自分自身で引き出しながら移り変わる女性の生き方が登場します。時代の移ろいを心地よいリズムとして感じながら,それらを紡ぎ,繋ぎあわせ,新しいものを創り出していく声の可能性が,先生の語りを通してさまざまな「音」として奏でられていきました。

先生ご自身は,生きた音や声の研究をするために修験者となり,仏教の声を研究するために仏道修行にも入られるなど,自由な耳と思考を鍛える過程を過ごされました。そして今,研究者であることと一人の人間として豊かに生きていくこととがリンクし,その時その時をリカレントし,今として新しくして生き直していらっしゃるそうです。

大内先生

 

 

 

 

 

大内先生2

 

 

 

 

 

「続く世代のためにできることがある。私に何ができるだろう。私が負うべきことは何なのだろう。」

蔵出しの写真と共に,ふきを下拵えする「すーっ」「シュー」の音,そして,「若い人にはさせられないからね。自分ができることを淡々としていくんだ」との祖母の言葉が教室内に響きます。忍従の中を黙して生き,小さな作業をしながら人に尽くしたいとしていた祖母の人生。その人生が手作業の音の中に組み込まれているようです。前を生きる人から学ぶことは多くあり,次に渡すべきものも多い中で,今の自分にできることは何なのかと問う力強い声が沁みていきます。

 

「いかさん たこさん なまこさん あとからほやさん ほーいほい」

女子教育の水準が低いとされていた時代に,その祖母の家に嫁いできた近代的な母と,その母方の祖母。俗な世界を持った祖母の口ずさむ歌。身体に入っていないはずの響きながらも一緒に歌うことによって祖母を受け入れていくかのような母の歌。二人の声の重なりは,異なる時代の感性を柔らかく融合させた恵みの時間だったといいます。
ふたりの祖母と母と一緒に生きるなかで大内先生の身体に組み込まれた記憶は,音や音楽を通しているからこそ生きた記憶として積み重なっており,それを言葉として紡ぎ出したものが連載エッセイ「音紡ぎ」でした。時代を超えて紡ぎ出された柔らかくも強い絆となる音によって,次の繋がりが生まれていくことが感じられます。

「皆さまひとり一人が女性として、一人の人間として長く生きてこられた記憶があるはずです。それをあらためて考え直すことで,それぞれにとりわけ大切にしてこられた宝物が生まれてくるはずです。それをやがては共有することとなれば素晴らしいことだと感じます。」

 

<参加者アンケートより>
「リ・カレントの解説が良くわかった。土台に教養」
「人生と今を振り返り,過去が今を支えてくれていることをあらためて考えさせられ次へのエネルギーにつながりました」
「音を通して人生の形を知ることができました」
「音楽は人生に身近な存在」
「自分はどんな生き方ができるのか考える機会になりました」
「年次を重ね会社での立ち位置や自分の追うべき役割についても考え仕事に向き合おうと思います」

天童睦子学長顧問/名誉教授からは宮城学院のジェンダー教育のこれからが語られました

天童睦子名誉教授/学長顧問からは宮城学院のジェンダー教育のこれからが語られました

天童先生2

 

 

 

 

 

2024年度第2回講演は7月27日開催予定です。皆さまのお越しをお待ちしております。

第2回講演 「仕事と暮らしのジェンダー論:NHK朝ドラ「虎に翼」「はね駒」をてがかりに」
【日時】 7月27日(土)10:30~12:00
【会場】 C203教室
【講師】 宮城学院女子大学名誉教授 天童睦子 氏(女性学,ジェンダー論)
日本の女性の生き方はどう変わったのでしょうか。仕事とくらしのジェンダー論と題して,女性の生き方,働き方,家族関係の変化を取り上げます。NHK連続テレビ小説「虎に翼」「はね駒」(1986年)をてがかりに,主に明治期以降の文化伝達と女性のキャリア形成の変遷を読み解き,現代のライフ・キャリアの課題を考えましょう。

第3回・第4回講演の内容は順次お知らせいたします。どうぞお楽しみになさってください。