2023年度「第8回キャリアアップセミナー」[キャリア支援課]

毎年、学生達に多くの学びを提供してくれる「キャリアアップセミナー」。今年度は、特別編1回を含む全9回を予定しています。

第8回 キャリアアップセミナー

講師:親業訓練協会 親業訓練インストラクター 宮城県家庭教育支援チーム 協議委員 波多野ゆか 氏

 

第8回キャリアアップセミナーは「親業訓練インストラクター」の波多野ゆかさんのご講演です。去る11/27(月)に本学大学講堂で開催しました。今年度最後の講演です。

 

波多野さんは大崎市在住で、中小企業診断士であるご主人の事務所に所属しながら「親業インストラクター」というお仕事をなさっています。宮城県の家庭教育支援チーム協議委員を務め、宮城県版「親の学びのプログラム」を作成しています。波多野さんへ今回講演を依頼した経緯は、波多野さんが県政だよりに特集されていらっしゃり、私達スタッフが「親業」という言葉を初めて知ったためです。

 

波多野さんは、ご主人が起業をするにあたって、「ご主人を支えて頑張ろう」と思った際に、身体の異変を感じ、乳がんであることがわかりました。しかもお医者様からは、生存率6割、乳房全摘出を勧められ、一刻も早く手術をしなくてはならない状況でした。告知の日はお嬢さんの保育園の初参観日だったそうです。様子のおかしい波多野さんに保育士の先生は「お母さん、任せて」とおっしゃりとても救われました。今振り返ると、手術の覚悟はできていてもその後の長い治療生活の覚悟はまだできていなかったそうです。小学生だった息子さんは、家庭科で習ったご飯を炊いたり、お風呂掃除をしたりと、率先してお母さんを手伝ってくれ、とても心強く安心したそうですが、実は息子さんはストレスから抜毛症になってしまったことがわかり、とてもショックを受けました。

 

このご自身の経験から、子どもと向き合い、心の奥にある気持ちを理解する「聞く」「話す」「対立を解く」というアメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が開発したコミュニケーション・プログラムを、子育てに悩みや不安を抱えているお父さんお母さんに伝えたい、単なる子育て支援だけでなく、家庭教育支援が必要だと思い、波多野さんは更に勉強を重ねています。7割の家庭が子育ての悩みを抱えている今、波多野さんは、こちらから出向いて行って講座を行うアウトリーチ型の支援を行っているそうです。

 

この「家庭教育支援チーム」は、東日本大震災によってできたチームでしたが、コロナ禍でコミュニケーションが上手く取れない問題行動を起こす子どもたちも多く、基本的な生活習慣の乱れや気力・体力の低下も問題です。家庭だけでなく、地域社会の過疎化や個人情報保護による子育て家庭の孤立化も、家庭教育支援が必要な理由の一つです。

 

宮城県は東京都に次ぐ出生率ワースト2位だそうです。社会全体で子育てをする環境が必要です。「街の子は皆我が子」という気持ちで。「孤育て」にならないように。「みんなでしあわせづくりをしていきましょう」というメッセージを波多野さんはくださいました。

 

【学生の声】
・親としてのあり方や子供の育て方は他の人に聞くことができるのであろうかと、聞いて恥ずかしくはないかという考えがありました。聞くことができずに自分の親の真似をすることが多いのだと思いますが、不安になったり怖くなることは絶対にあるはずなので、いつになっても学びは必要でより良い子育てより良い親になるために親の学びに参加したいと感じました。気軽に誰でと利用できるLINEでの相談などがあることを新しく知ることができたので、教員になった時、自分は親じゃないから何も言えないと思ってしまった時、こういった活動を紹介したいと思いました。(児童教育専攻1年生)

 

・出生率の低い宮城県でも今回ご講演いただいたような子育て支援や親の学び支援もあるならば、きっと全国でも同じような制度や支援もあると思います。それなのに、なぜ国は子育て支援に対して前向きに動くことがないのだろうと疑問に感じました。将来的に子どもを産み育てたいという気持ちは無いわけではありません。しかし、国の制度の問題や金銭面、子供に対する風当たりが強いことなどを含めて自分が子どもを持つことは難しいと思っています。これから先、助けを求めたときに助けてくれる行政が確立されたら子どもを産み育てたいという気持ちも生まれるのかなと思いました。(心理行動科学科4年生)

 

今年度も、本学学生達の学びのために、大変多くの皆様にご協力をいただきました。改めて深謝申し上げます。

 

本講座は来年度も開催を予定しています。受講者としてお聴きになりたい方がいらっしゃいましたら、キャリア支援課までお知らせください。

 

<問合せ先>
キャリア支援課
022-279-4957/career-c(アットマーク)mgu.ac.j