【実践研修・現場部】仙台地方裁判所・家庭裁判所を訪問しました

8月3日(木),2023年度「現場部」の活動として,本学科の2~3年生約20名が仙台地方裁判所・家庭裁判所を訪問しました。
集合写真CIMG2055

午前中は、地方裁判所を訪問しました。
職員の方から刑事裁判の傍聴の在り方について説明を受けた後に、裁判員裁判を傍聴しました。内容は、検察官の論告・求刑でした。検察官が同種事件の判例を引用するなど丁寧な説明がなされ、裁判員や傍聴人が理解できるような開かれた刑事裁判の印象を受けました。
その後、空き法廷の見学においては、職員の方から裁判員裁判、裁判所職員の職務概要などの説明を受け、さらに実際に使用している裁判官の椅子に座るなど、裁判官、検察官、弁護人、被告人、証人などのそれぞれの視点を体験することで、被害者、加害者の心理のみならず裁判員を含めた裁判を構成する関係者の心理に関心を向けることができる絶好の機会となりました。

プレゼンテーション2

 

午後は、家庭裁判所を訪問しました。
家庭裁判所ではまず、少年審判廷、調停室、調査室、児童室等の施設を家裁調査官の方々に案内いただきました。プライバシー保護に非常に配慮がなされていることと、一人一人の立場を尊重する姿勢がよくわかりました。
その後、少年審判の動画(ドラマ仕立ての架空事例)を視聴し、その事例の設定で、家裁調査官による調査場面のシナリオをロールプレイしたり、最終的にこの少年にとって望ましい処遇をグループで検討したりしました。これらにより、少年の立ち直りに向けて必要な処遇を考える際に、どのような視点が必要となるのかについて考えを深めることができました。
最後に、中堅調査官の方お二人との意見交換の時間をいただきました。調査官の業務やそのやりがい等に関する学生からの質問一つ一つに丁寧にお答えいただき、家裁調査官の仕事についてより深く知る機会となり、学生にとっては地方裁判所及び家庭裁判所の訪問はキャリア教育にもつながりました。

見学終了後は、市民センターで振り返り会を行いました。
学生達は、講義で話に聞いただけではわからないこと、実際に現場を見ることで得られる学びの多さを語り、共有しました。具体的な感想の例を以下にご紹介します。

  • 検察官の論告・求刑の言葉、一つ一つに非常に重みを感じるとともに、裁判員に選任された方々にわかりやすく説明する工夫もなされていることに感心した。
  • 普段かかわることのない場所であるが、いろいろな方が出入りしていて、また、毎日裁判が行われていると聞いて、私たちの日常と密接につながっている場所であることを実感した。
  • 地方裁判所の法廷と家庭裁判所の少年審判廷を実際に見て体験したことで、家庭裁判所が少年の立ち直りのために、その問題の背景を解決することが目的であることがより一層理解できた。
  • 家裁調査官の方の「本当は自分たちの仕事がない社会になるのがよいのだ」という言葉が響いた。
  • 家裁調査官の仕事を体験してみて、非行少年の背景を様々な角度から想像して検討する仕事であることに驚いた。女性でも働きやすい職場であることもわかった。

とても暑い日に、一日がかりの見学を終えた後でしたが、参加学生たちの目はとても生き生きとしておりました。この後、今回の体験をレポートにまとめるという課題がありますが、引き続き頑張ってください。引率教員一同、皆さんの実践的な学びの報告(レポート)を拝読するのを楽しみにしております。

振り返り会CIMG2066

 

「現場部」は, “心理学は,机の上だけでは学べない”という本学科のモットーを体現化した企画で,2014年度に当時の在学生の希望で始まりました。さまざまな「現場」に足を運び,自分の目で見て,自分の耳で聞くなど五感をフル活用して現場を感じ,そこから心理学の学びを見出す企画で,「心理学実践研修B」という授業の一部に位置づけられています。これまでに,JAXA筑波宇宙センター,宮城県科学捜査研究所,松島水族館(現在は閉館),東北少年院,青葉女子学園,仙台鑑別所,新日鐵住金・安全体験教育プログラム,東北電力・女川原子力発電所,人と防災未来センター(神戸市),祈りの杜(尼崎市:福知山線列車事故現場)などを訪れてきました。

(引率:浅野・木野記)