河北新報に“現場部”が取り上げられました!

心理行動科学科の「現場部」の活動として、先月2月14日、1~3年生16人が福島県の浜通り地方を視察しました。事前に地域のこと、原子力発電所のこと、そして福島事故と原子力災害のことを一通り学んだうえで、いくつかの施設を訪問しました。

まず、とみおかアーカイブミュージアムを見学しました。LINE_ALBUM_20230214_230302_34富岡町の歴史を縄文時代から学び、その中に東日本大震災と原子力災害を位置づけようと考えられた博物館です。学芸員の方からは、「震災と原発だけではいずれ飽きられてしまう。富岡の歴史を学ぶことで、原発が誘致された背景を考えて欲しい」というお話をいただきました。学生たちからは、実際に被災したパトカーや富岡町の原子力災害本部の再現展示に圧倒されながらも、ただ単にそれだけを切り取って見るのではない視点を持とうとしている様子が伝わってきました。

つづいて、東京電力廃炉資料館に移動して東京電力の担当者さんからの説明を受けました。事故への深い反省と、廃炉の進捗状況について、さらに、事故時の社員さんの証言などを見て回りました。学生さんからは、事故のお詫びに違和感をもったとの意見が聞かれました。それよりも未来にどうしていくのか、それをもっと丁寧に説明して欲しいとのことでしたが、過去への謝罪を繰り返さなければならない事情も理解できるという葛藤が感じられました。

【写真送付】230214 東北電業会(宮城学院女子大学) 様_IMG_2696 さらに、東京電力福島第一発電所を視察しました。APD(警報付き個人線量計)と綿手袋を装着し、金属探知機などで厳重な入構チェックを受けた上で、構内視察専用のバスに乗り換えての約1時間の構内視察でした。水蒸気爆発を起こした1,2号機から200mほどのところにある展望台から、12年経ってもなお事故の爪痕が残り続ける建屋を見ました。ある学生は爆発により吹き飛んだガレキがまだ一部残っている様子、ある学生は写真とは違う実際の建物の大きさや爆発のすさまじさに驚いたと語りました。自分は福島出身だが、福島出身だからではなく電気を使う一人の人間としてワガコトと捉えねばならないと語った学生もいました。(※参加者の総被ばく線量は10~20μSvで、歯のレントゲン撮影1~2回分程度でした)
 

心理行動科学科では、こうした様々な体験を通して心理学を学ぶカリキュラムが特徴の一つです。日本中のどこの大学でもできない経験を少しでも多く、安全に学生さんに提供することが学科の使命だと思っています。人の営みには必ず人の心が関わりますから、すべてが心理学の学びに通じるのです。
このような体験を通して、学生さんに「これ」を感じて欲しいということはありません。それぞれの体験を通して、それぞれの背景と思想の中で「何か」を感じてもらえばそれでいい。これからもこの活動を続けていきたいと思います。

この現場部視察が、3月14日、河北新報朝刊に掲載されました(Web版でも読めます)。自分がした体験が新聞記事としての価値をもつということもまた、学生たちの学びになります。(大橋記)

※この視察は(公財)東北電業会の電気に関する広報・啓発事業の一環として行われました。ここに記して感謝申し上げます。

2023年3月14日河北新報に掲載されました!