キャリア支援企画(4)「シリーズ:心理学を現場で活かす〜法務教官〜」を開催しました

7月15日(金)の5校時に、「法務教官等に関する講習会」と題して、現職の法務教官の方をお招きして、少年院等の施設における「生の声」についてお話をうかがいました。心理学を少年犯罪に活かす仕事(公務員)について学びを深める機会です。

講師には、會澤壮史氏(東北少年院 青葉女子学園 庶務課長 法務教官)、杉渕理恵子氏(東北少年院 法務教官)、粕谷祐馬氏(東北少年院 法務教官)をお招きしました。

まず初めに「インターネットと人権」についてVTRを視聴し、我々の身近にあるSNSにおける人権侵害について考える機会をいただきました。會澤氏からは、少年犯罪の仕組みについて、その種類、流れや手続について図をまじえながら詳しく丁寧に説明していただきました。
DSC02663
次に杉渕氏からは、少年との実際の関わりについて、架空事例を元にお話いただきました。社会復帰に向けて、再非行防止に焦点を当てた矯正教育が多数実施されており、心理学的側面からアプローチするいくつかについてご説明いただきました。SST(ソーシャルスキルトレーニング)のロールプレイ実演を見せていただき、その実際について理解を深めることができました。
DSC02665
さらに粕谷氏からは、日々の関わりの中でどのようなことを思い、感じながら少年と対峙しているかについてリアルな声を届けていただきました。それぞれの少年に背景があり、その個別性に配慮しながらの関わりの中で、お話だけでは計り知れない葛藤や熱量が在校生にも伝わったようです。DSC02669

以下、参加者の感想の一部をご紹介します。

・非行少年の分類や犯罪後の手続きを知ることができ、非行少年や少年院、法務教官についてイメージがより明確になった
・少年院の仕組みや非行少年に対する接し方や指導方法の種類について、事例や実践を用いて詳しく知ることができた
・少年院のこれまでのイメージは、反抗的な子供たちを恐い大人が厳しく取り締まり、教育をするというイメージを持っていた。しかし実際は資格取得、高卒認定試験に向けてや、運動や特別活動など、少年たちが社会に復帰するために「支援していく場所」だと認識が変化した
・なぜ非行に走ったのかについて、環境や考え方などの背景を含めて時間をかけて指導したり、社会復帰を手伝うことはとても気力がいる大変な仕事だと感じた
・非行少年がひとくくりにされているわけではなく、それぞれにあった対処がなされることがわかった
・アセスメントやマインドフルネスなど心理学で学んでいることが多く出てきたことから心理学での学びが直接的に活かせる職業だと感じた
・彼らの気持ちの全てを理解することは難しいが、彼らに寄り添うことが大切なのだと強く感じた。法務教官も職業選択の1つとして考えたいと思った

(千葉陽子記)