「亘理・山元町復興支援インターン」活動報告

「亘理・山元町復興支援インターン」活動報告 

食品栄養学科2年 相澤 寧々

日本文学科1年 佐藤 織恵

 

  今回私たちは、平成27年9月6日(日)~9月12日(土)の7日間、5泊6日のプログラムで行われた復興大学が主催する「亘理・山元町復興支援インターン」に参加しました。この活動は、日本全国の大学生が被災企業で職業体験を実施し、職業体験を通じて感じ・学んだ被災地及び被災地産業の現状を全国各地で発信することで、被災地産業の振興や被災地全体の振興に繋げることを目的とするものです。(復興庁ホームページより) 

 1日目は事前研修とオリエンテーション、2日目は語り部さんのお話を聞きながら、バスで亘理・山元町内を回り、現地の視察を行いました。3~6日目は各グループに分かれ、受け入れ先企業での職業体験、最終日は活動報告会を行いました。

 私たちは「鳥の海ふれあい市場協同組合(以下、鳥の海)」さんでお世話になりました。鳥の海さんは2008年に亘理荒浜の鳥の海温泉の1階にて営業を始めたお店です。お店が軌道に乗り始めたという頃に、2011年3月11日、東日本大震災で被災し、店舗が流失しました。しかし、「いち早い荒浜地区の復興を!」という従業員や組合員たちの意向により同年12月仮設店舗での営業を再開し、2014年10月に新たに完成した「きずなぽーとわたり」の1階で本格的な営業を再開しました。現在は亘理町内外合わせて約120名の組合員の商品を店舗に揃え、地場の旬な野菜や魚介類、そのほかにも地元店舗の菓子、工芸品、水産加工品などさまざまな商品を取り扱っています。

 地元の人はもちろん、県内外から度々足を運んでくれるお客様も多く、最近では語り部バスツアーでお土産を求めて鳥の海さんを訪れるお客様も少なくありません。「鳥の海さんに来ると亘理のお土産が一気に揃う!」と評判です。また、昨年9月に1周年記念祭のイベントを行い、順調な様子がうかがえます。きずなぽーとわたりの向かいにある「荒浜にぎわい回廊商店街」とともに多くの方に足を運んでもらうために、イベントも毎月交互に開催しています。 

 主なインターンの活動内容は、接客・レジ業務・商品整理でした。そのほかにはイベントと鳥の海さんで販売しているブレンドソフトの宣伝ポスターの作成、店内の飾りつけ、亘理町の郷土料理であるはらこめし作りを体験しました。私たちが行った時期は悪天候だったため、ほとんどが店内での業務でした。それでも、従業員の方や多くのお客様と関わることができました。鳥の海さんが地元の方にとってどんな存在であるのかをお聞きし、そして、店舗の魅力をどうしたら多くの方に知ってもらえるか宣伝内容を考える難しさなど、普段の生活の中では体験できないものばかりでした。また、はらこめしは地場の鮭といくらをふんだんに使用しており、とてもおいしかったです。はらこめし作りはとても時間のかかる作業ではありましたが、亘理町の郷土料理を知るきっかけになりました。はらこめしのシーズン(9月頃~)になると鳥の海さんでも販売を始めます。従業員の方が一人ですべて手作りをしています。一人で作っていることに大変驚きましたが、仮設店舗時にお客様を呼び込むために販売を始めたことを聞き、復興に貢献したものであることが分かりました。

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 また、職業体験中や昼休みを利用して、従業員の方や商店街の方、お客さんに亘理町の魅力、被災時のこと、今後どのような復興が必要であるかなどさまざまなお話を聞きました。この聞き込みは、私たちが同じ宮城県民でありながら、亘理町のことについて何も知らなかったということから、もっと亘理町の事を知り、今後の復興支援として何ができるかを考えるために、私たち自身で考えて行いました。

 聞き込みを行っていくうちに分かったことは、鳥の海さんを訪れる方の多くは震災前の鳥の海温泉と鳥の海さんのことを知っている方であるということ、荒浜にぎわい回廊商店街とともに毎月イベントを開催しているけれども、情報・宣伝が亘理町外には届きにくい状況であることです。また、亘理町荒浜地区の方々は地域との絆を大切にし、強い仲間意識を持っているからこそ、亘理町は県内でも特に早い復興を遂げているのだと思いました。聞き込みを通して、地元の皆さまが求めているのは「亘理町の現状を知ってもらい、関心を持ってもらうこと。交流人口を拡大していくこと。」だと考えました。同じ宮城県民でありながら何も分かっていなかった悔しさから、復興のためにこんなにも活動している方々のために、学生である私たちにできる最大限のアクションプランとは何か、短期間の中でたくさん考えさせられました。

 

 私たちが考えたアクションプランは、昨年12月本学で開催されたクリスマスマーケットで鳥の海さんの商品(お土産品)を販売し、商品と一緒に鳥の海さんについてのパンフレットを渡したり、亘理の旬の食材を示した模造紙を作成し、掲示することで亘理町への関心を持ってもらおうというものでした。最終的には関心を持っていただけた方に実際に亘理町や鳥の海さんへ足を運んでもらうのが目標です。

 実際に販売を行ってみて、なかなか商品を手に取ってもらえなかったり、販売ブースまで足を運んでもらえなかったりと苦労した面もありましたが、見事、商品を完売することができ、達成感がありました。クリスマーケットを訪れた方の中には、鳥の海さんをご存じの方や「亘理町の近くに住んでいるよ」と声をかけてくださった方、実際にインターンに参加したという方がおり、多くの方と交流を持つことができました。少しでも亘理町・鳥の海さんを知ってもらえる機会を作ることができたのではないかと感じています。

 しかし、今回のクリスマスマーケットでの活動だけでは継続的な情報発信・復興支援にはならないのではないかと考え、ここに私たちの活動報告を掲載することにしました。このインターンで学んだことはたくさんあり、充実した時間を過ごすことができ、最初は長く感じていた7日間はあっという間に過ぎていきました。もっと多くの方に亘理町を知ってもらえるきっかけになればと思っています。 

 今回の貴重な経験を忘れることなく、人のつながりが強く、地元愛にあふれる亘理町の復興のために何ができるのか常に考えていきたいです。また、学生の皆さんにこのインターンについて知り、興味を持ってもらえるきっかけになれば良いなと思っています。このような貴重な体験ができるのは学生のうちだけだと思います。ぜひ、多くの学生の皆さんに復興支援インターンに参加してもらいたいと思います。