「日本語教育実習に参加して」 高橋朋美
2009年10月6日から10月22日までの約2週間、仙台ランゲージスクールで日本語教育実習を行いました。私が担当したクラスは初級3Aというクラスでした。実習前、大学で模擬授業をしていましたが、授業で行ったのは初級前半の練習だけ。実習で担当する初級3Aは初級後半のクラスということで、実習前は本当に大丈夫なのかと不安ばかりでした。
日本語学校での教壇実習は漢字1回と文法1回、計2回(180分)ありました。私が初めて教壇実習を行ったのは実習4日目、漢字の授業でした。前日が台風の影響で休校となり、授業見学を1度しかしていない中での実習。クラスの雰囲気もほとんどわからず、授業も手探り状態でした。授業はあまり緊張せずにできたものの、授業後は後悔ばかりが残りました。しかし、そんな私の様子を見た学生が「大丈夫だったよ!」と声をかけてくれ、次の文法の教壇実習は絶対に良い授業をしよう、と気持ちを入れ替えることができました。
実習2週間目に文法の教壇実習がありました。実習2週間目になるとクラスにも慣れ、学生とも少しずつ打ち解けられるようになってきました。文法の授業で私が担当するのは『みんなの日本語初級Ⅱ』第37課の受け身、特に持ち主の受け身でした。受け身という重要文型を教えるにあたり、まずは自分自身がしっかりと受け身を理解しなければなりませんでした。しかし、普段無意識に用いている日本語をしっかりと意識するということは思っていた以上に難しく、考えれば考えるほど受け身がどういうものなのかわからなくなり、受け身の迷宮から抜け出すのにとても苦労しました。
授業では、学生が身近に感じる話題から導入を行いました。「私は足を踏まれました」という文型を導入するときに実際に学生の足を踏むなど、動きを取り入れたことで学生も楽しみながら集中して学んでくれたのではないかと思います。学生からの質問に戸惑うこともありましたが、落ち着いて考え、対応することができました。1コマ90分という長い時間でしたが、なんとか時間通りに授業を終えることができ、授業後、指導の先生から「(受け身について)悩んだ甲斐がありましたね」というお言葉をいただきました。もちろん反省点は多々ありましたが、充実した教壇の90分だったと思います。
実習最終日、もう1度漢字の教壇実習をさせていただく機会を得ました。これまでの実習で学んだことをすべて注ぎ込む気持ちで挑みました。もちろん反省点のない完璧な授業などはできませんでしたが、初めての教壇実習の時に比べると、自分自身の成長を感じることができる授業となりました。
初めは不安ばかりだった教育実習でしたが、担当のクラスの学生は皆優しく、授業に協力的で本当に何度も助けられました。「学生の寂しがっている姿を見ればこの実習が成功だったと言えますね。自分の方を向かず、実習生にどんどん質問していたのは、あなたたちを信頼していた証拠です」これは、実習最後の日に指導の先生から頂いた忘れられない一言です。
苦労したことはたくさんありましたが、それ以上にたくさん収穫を得ることができた2週間でした。将来の進路として日本語教師を目指している私の基盤を築くことができたと思っています。教育実習の2週間は私にとって忘れることのできない大切な時間であり、最終日にクラスの学生と撮った写真は一生の宝物となるでしょう。
熱心に指導してくださった、仙台ランゲージスクールの先生方、そして初級3Aクラスの学生の皆さんには心から感謝しています。教育実習で学んだことを生かし、立派な日本語教師になれるよう、これからも頑張っていきたいと思います。