「夏の怪談教室―怪異と幻想の日本文学Vol.3」を開催しました

kaidan2018

今年もこの季節になりました。日本文学科公開講座「夏の怪談教室―怪異と幻想の日本文学Vol.3」。連日の猛暑が少し和らいだ7月28日(土)、仙台市市民活動サポートセンターにて開催しました。昨年同様、学都仙台コンソーシアム・サテライトキャンパス公開講座2018の一環として行われ、多くの方々に足をお運びいただき、会場はすぐに満席となりました。

今回は日本文学科の深澤昌夫先生(ご専門:近世文学・芸能)と、東北大学名誉教授の石川秀巳先生(ご専門:近世文学)がお話しされました。先ずは石川先生が「われこそは玉梓が怨霊 ―『南総里見八犬伝』と怪異―」と題し、『南総里見八犬伝』に登場する伏姫(人間のお姫様)と飼い犬、八房との間に「誕生した」里見八犬士は、果たして妖婦玉梓の呪いの結果誕生したのか、ということについて、様々な説を引用しながら説明してくださいました。著者である馬琴本人が当代読者からの疑問に答えた『犬夷評判記』も紹介してくださり、講義終了後には『南総里見八犬伝』の草双紙を間近で見ようと、石川先生の周囲にたくさんの方々が集まりました。

続いて深澤先生が「江戸怪談の魅力と深層-「牡丹灯籠」をめぐって」と題して、三遊亭圓朝『怪談牡丹燈籠』、瞿佑『剪灯新話』から「牡丹灯記」、浅井了意『伽婢子』から「牡丹燈籠」、記紀神話における冥界訪問譚、そして上田秋成『雨月物語』から「吉備津の釜」について教えてくださいました。以上の物語における共通点について確認しながら、深澤先生は「この世とあの世、生と死、あるいは男と女の、交流・交歓・せめぎあいの物語」であると締めくくられました。

カランコロンカランコロン・・・・・何の音かご存じですか。『ゲゲゲの鬼太郎』の歌にも登場するカランコロン、そう、それは下駄の音。牡丹灯籠を掲げ、カランコロンと下駄を鳴らし、恋人のもとに通う女性の死霊。その姿を想像してください。艶かしくも、背筋が凍る場面ですよね。

「夏の怪談教室―怪異と幻想の日本文学Vol.3」、この度も大盛況のうちに終了することができました。今回も多くの皆さまにご来場いただき、誠にありがとうございました。連日猛暑が続いておりますが、少しでも文学の世界に涼を感じていただけましたでしょうか。

 

次は「夏の怪談教室―怪異と幻想の日本文学Vol.4」でお会いできればと思います。また、暑い夏に。