直木賞作家の熊谷達也氏をお迎えし、公開授業を行いました

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日本文学科には創作論を学ぶ講義がいくつか開講されていますが、そのひとつである「創作表現研究Ⅲ(文芸評論家の池上冬樹先生ご担当)」では、直木賞作家の熊谷達也氏をゲスト講師としてお迎えし公開授業を行いました。

2016年5月17日(火)、公開授業として行われた「創作表現研究Ⅲ」の授業には、受講生の2倍以上の学生が詰めかけ、教室はほぼ満席となりました。熊谷先生による小説講座に真剣に耳を傾け過ぎて行く時間というのは、普通は到底体験することのできないとても貴重なものだったと思います。

受講生が書き上げた短編小説に対し、具体的に赤を入れて、講評してくださった熊谷先生でしたが、教室の至るところではその受講生に向けて羨望の眼差しが飛び交っていました。

今回の公開授業には、集英社の担当編集者も同行されました。熊谷先生だけでなく、編集者の方からも鋭く的確な講評をいただけた受講生たち。このような機会、めったにありませんよ。

授業は熊谷先生の最新作である『希望の海 仙河海叙景』のお話へと進んでいきます。なぜ東日本大震災をテーマに小説を書くことになったのか、当時のエピソードなども詳しく教えてくださいました。

熊谷先生は1997年に『ウエンカムイの爪』で小説すばる新人賞を受賞されておりますが、昨年度、宮城学院女子大学の卒業生である渡辺優さんが『ラメルノエリキサ』で同賞を受賞されたことは記憶に新しいと思います。今回の公開授業には渡辺さんも参加してくださいました。

渡辺さんの作品には女性が多く登場しますが、女性作家が女性同士の関係を描くことは一般的に難しいそうです。ところが渡辺さんは特に意識することなく書けるそうで、熊谷先生も渡辺さんの描く女性、特に主人公のお姉さんの存在がいいと絶賛されました。

『ラメルノエリキサ』をすでに読んだ受講生たちの質問にも、おっとりとした雰囲気ながらに独自の世界観をもって丁寧に答えてくださる渡辺さん。授業終了後に、サインを頂戴する受講生の姿も。

宮城学院女子大学の卒業生である渡辺優さんに続けと、この教室の中からいつか新人賞受賞者が出ることが待ち遠しいです。

熊谷先生、渡辺さん、同行してくださった集英社の担当編集者さん、この度は本当にありがとうございました。学生にとって満足度の非常に高い公開授業となりました。