『古文書がつなぐ人と地域-これからの歴史資料保全活動-』
荒武賢一朗、高橋陽一 編
[東北大学出版会]
現代日本の社会的課題である少子高齢化、過疎化、さらには各地を襲う災害から、歴史資料保全活動の重要性は一層増している。地域で受け継がれた資料を守る作業は、研究者のみならず、所蔵者・地域住民・自治体などさまざまな人々の協力によって成り立ってきた。本書は東北地方における歴史資料保全活動の足跡を追いながら「保存から活用へ」というテーマを設定し、その方法を提示している。先人からの継承と資料所蔵者の心理、自治体職員の奮闘、そして成果を社会に発信しようとする新たな挑戦に注目し、「歴史の教訓」を未来に伝える。
《目次》
まえがき 高橋陽一
1 歴史資料保全活動の現場から―宮城県白石市の事例 櫻井和人
2 原発事故被災地における歴史資料保全とその意義―福島県双葉町を事例に 泉田邦彦
3 活用なくして保存なし―大学の研究者と地域の歴史資料 高橋陽一
4 資料レスキューと心理社会的支援 上山眞知子
5 地域の歴史を学び、考え、発信する―岩出山古文書を読む会の成果から 荒武賢一朗
あとがき 荒武賢一朗