教員のリレーエッセイ:生活文化デザイン学科 教授 長谷川 麻子

初めまして!昨春から、生活文化デザイン学科のお仲間に加えていただいた長谷川麻子と申します。リレーエッセイに寄稿させて頂くのも初めてですので、まずは自己紹介がてら、だいぶ昔の話で恐縮ですが、高校時代から大学時代までの自分を振り返ってみます。

高校時代、将来の職業のことなどあまり考えていませんでしたが、父が医師、母が教員免許を持っていたので、「先生」と呼ばれる職業にだけは就きたくない!とは思っていました。もちろん、両親のことは尊敬しているのですが、遅れた反抗期なのか、単に天邪鬼(あまのじゃく)なのか、みなさんと違って素直ではない人間なのですね。それでも父の影響を受けてジャズを聴くのがたまらなく好きで、ジャズを流している喫茶店でコーヒーを飲むのが趣味でしたから、音響に関わるエンジニアはどうだろう?なんて夢見がちなことを考えたり、また、店内を見渡しては家具やインテリアが気になり、いや見た目だけじゃダメだろう、と建物に興味を持ち始めていました。いずれにしても、受験するとなれば工学部、完全理系ですが、足元を見てみると、いやはや、完全文系の成績ではありませんか!これは困った。しかし、文系に進んでもやりたい仕事はないのだから、頑張るしかない!そのとき既に高校3年生だったような気がしますが、数学・理科系の科目を先生や友達に教えてもらいながら、とにかく積極的に勉強しました。一発合格とはいきませんでしたが、予備校では国立理系選抜クラスに入り、早慶上智文系クラスの英語の授業にもぐりこみ、仲間同士で模擬試験の点数競争をしてコーヒーをおごったりおごられたりして過ごし、結局、国立大学は不合格、千葉工業大学へ進学しました。

大学時代、建築学科に来る学生のほとんどがそうであるように、自分が設計した喫茶店でジャズを流しながらコーヒーを出すことを目指していました。しかし、現実を見ると、自分より設計が上手な人はたくさんいるし、気が付けば構造力学の単位を落としそうになっている…これはマズい!3年生に上がれないじゃないか!ここでまた一念発起、授業が終わってから構造力学の先生を訪ねては苦手な箇所を教えていただき、定期試験は何とかクリア。構造力学の先生へお礼に伺ったところ、そのまま先生の博士論文や企業からの委託研究のお手伝いをすることになり、建築設計を目指していたはずが、いつの間にか建築構造の世界に惹かれていきました。

「もうダメだ」「落ち込む」「心が折れる」などなど…生きていると、困ることや嫌なことはたくさんありますが、一生懸命チャレンジしてみると、人生は楽しく、充実し、豊かになるものですね。

あれ?長谷川先生は、構造力学ではなく、建築環境・設備の先生ですよね?しかも、高校時代はなりたくなかった「先生」になってる!・・・お気づきですか?激レアさん、とまではいきませんが、その後の人生も紆余曲折なので、この続きはまた何かの機会に。

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