教員のリレーエッセイ:教育学科幼児教育専攻 教授 尾形 良子

人が人を支える ~なぜ社会福祉士なのか~

「人に迷惑を掛けてはいけないよ」。

親から、または学校や社会からよく言われる言葉です。時には私たちの言動をしばりつける言葉ともなっています。しかし生きていく上で見舞われる出来事を、すべて一人で、また家族や友だちだけで解決していくのは困難です。抱えている悩みごとを、誰か役に立つと考えられる人に話してサポートしてもらうことは、「迷惑を掛ける」ことにはなりません。私たちはみんな、困りながら、迷いながら人生を歩いて行く存在なんですから…。

私が本学で養成を担当している社会福祉士は、生活上の困りごとを解決する時に支援を行う専門職です。イギリスでは「ゆりかごから墓場まで」と上手に表現したように、妊産婦さんのお腹にいる赤ちゃんやお母さんからひとりの人が人生を終える時、またはその後の遺族の支援までもターゲットになっています。この専門職の職名は「ソーシャルワーカー」といいます。国家資格の名称が社会福祉士です。欧米では大学院課程も含めて6年間の教育が必要ですが、日本では4年制大学等で取得できます。

何十年か前、高校3年生の私は、社会福祉を専攻することを決めました。決め手は「人生にそんなに辛いことがあるなら、誰かに支えてほしいに決まっているなぁ」という、自分の気持ちに応えるピッタリの専門職の勉強が出来ると考えたからです。「生活がターゲット」という専門の対象が広いところにも関心をもちました。これからどこのアパートで暮らすか、どんな社会資源を使っていくか、など。

しんどい時にはお互いさま。最近では地域で助け合いをする相互扶助を現在によみがえらせようと、各地で取り組みが始まっています。コロナ禍で積極的な活動ができていないところも多いですが、みなさんもご存知の子ども食堂などもその一つです。私たちは、「困った時にはお互いさま。迷惑なんかじゃないよ」という社会を作りたいと考えています。

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良かったら一緒に勉強をしませんか。お待ちしています。