教員のリレーエッセイ:食品栄養学科 教授 佐々木 ルリ子

みなさん、こんにちは。食品栄養学科の佐々木ルリ子です。給食経営管理論の講義や実習を担当しています。
前回は2年次の学内実習の様子を紹介しました(参照:リレーエッセイ 2015年8月25日)。今回は3年次に学外で行われる給食経営管理論臨地実習を紹介します。実習は、学校、給食センター、保育所、高齢者施設、給食会社、事業所、自衛隊などで5日間または10日間行われます。実際に現場の管理栄養士・栄養士の業務を学び、給食利用者の食事提供を体験し、給食を円滑に運営するためのマネジメントを学習します。

6月に実施した実習を3年生に報告していただきました!

●どこの実習施設でしたか?
仙台市内の高齢者施設で10日間実習しました。

●どのような実習内容でしたか?
施設では、調理室での作業やスタッフの方による講義がありました。
調理室では、下処理や加熱調理、盛り付け、配膳作業を行いました。講義では、利用者様の栄養管理、献立作成と食事形態、介護保険制度、管理栄養士の業務などを学びました。毎日、昼食時には利用者様の食事摂取状況を確認したり、私たちが作成したおやつ献立を実際に調理して提供したり、高齢者の栄養ケアの計画や実施に携わらせていただきました。

●実習を通して学んだことは何ですか?
施設では細かな食事形態やサービスの提供を行なっていました。認知症や介護度が高い方の嗜好や食事摂取状況を把握していくために、管理栄養士と他職種の連携がいかに重要かがわかりました。管理栄養士は、調理師・調理員や介護士、看護師とともに利用者様に寄り添い、専門職の視点から心身の状況を情報共有して最善の対応を考え、献立や食形態を考えていました。
食事は、食べてもらうことはもちろん、調理の作業負担やコスト、衛生管理が重要であると学びました。

●感想は?
〇現場で大切にしていたことは、おいしいと感じて食べていただくことです。食事の様子を見学したり、利用者様の感想や希望を伺ったり、他職種との情報共有といったコミュニケーションの必要性を感じました。
〇利用者様は身体機能や認知機能によって食形態や嗜好も異なるため、個人対応の難しさと、スタッフの方々の凄さを感じました。献立は、適切な時間に提供できるだけでなく、栄養バランスや見た目も考える必要があることを学びました。
〇管理栄養士が利用者様の状態を把握するには、病態や介護の知識とともに、様々な視点で物事を考えることが必要不可欠です。安全でおいしい給食を作る大変さを感じました。
〇実習開始時はとても緊張しましたが、積極的にたくさん質問して取り組むことができました。おやつ献立を実際に提供した時、利用者様に「おいしかったよ」「たくさん食べた!」と感想をいただいたときはうれしかったです。
〇昼食時に管理栄養士が利用者様と会話し、時には食事介助を行っていた姿が印象的でした。会話や食事介助によって普段食事をしない方が積極的に食事をする姿を見て、食事の影響力は強く、生活の質の向上や生きる原動力となると感じました。利用者様の気持ちに寄り添うことができる管理栄養士になりたいと思いました。

実習前は不安だった学生も、実習後は生き生きとした表情で大学に戻ってきました。実際の現場では自分で考える力や実践力が求められると痛感してきたようです。学外実習の期間は短いですが、管理栄養士の仕事の楽しさや厳しさ、やりがいを感じるとともに、管理栄養士として将来の目標に向かう気持ちをより確実なものとしていました。本学科では多くの学生が管理栄養士として就職しています。みなさんには存在感のある管理栄養士として活躍してほしいです。

高齢者施設の実習報告より


研究室の仲間たち(いつの間にか卒業生のプレゼントでパンダだらけになりました)