国際文化学科教授 今林直樹

みなさん、こんにちは。
 国際文化学科の今林直樹です。専門はフランス・アフリカ関係史ですが、最近はフランスの地域についても研究しています。

 さて、突然ですが、みなさん、フランスにある仙台市の姉妹都市がどこか御存知ですか?そうです、レンヌ市です。レンヌはフランス・ブルターニュ地方の中心都市で、レンヌ第1大学やレンヌ第2大学を中心に学生の町としても活気があります(写真1、2)。

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imabayashi03仙台市は1967年にレンヌ市と国際姉妹都市提携を結びました。2007年には提携から40周年を迎えるということで、仙台市では東北大学の小林文生先生を中心に「仙台におけるフランス・レンヌ年」を企画し、ブルターニュの伝統ある民族舞踊団セルクル・セルティークを招待したり、そば粉を使ったガレットやリンゴ酒のシードルを紹介したりと盛りだくさんでした(写真3)。

imabayashi04私は2005年4月から1年間、レンヌ第2大学の客員研究員として、レンヌに家族とともに滞在しました。レンヌ第2大学はケルト研究で知られる大学ですが、めずらしいことに同大学では学生が第2外国語として日本語を選択することができます。同大学で日本語を教えておられたのが雨宮裕子先生ですが、日本語を選択する学生が増えていることもあって教員の数が足りず、レンヌ在住の日本人が非常勤講師として教鞭をとっていました。私もその仲間に加えていただくことになり、学生たちを相手に日本語を教えました。写真4はその時の教え子たちです。数字の発音を練習したときなど、みんな「いち、に、さん、し」と大きな声で一生懸命に発音していました。懐かしい思い出です。

 imabayashi05ところで、ブルターニュにはフランス語とは異なるケルト系の言語であるブレイス語という言語が存在します。写真5は左半分がフランス語、右半分がブレイス語による表記になっています。私はこの機会にブレイス語を学びたいと思い、スコル・アン・エムザオ (Skol an Emzav)という語学学校の短期集中講座に通いました。今度は私が生徒になって数字の発音練習をする番です。

ブルターニュではその全域でブレイス語が話されているわけではないのですが、ブレイス語を大切に思う人たちがブルターニュ各地からブレイス語を学びに語学学校にやってきます。その人たちが私をみて、「どうして日本人がブレイス語を勉強するのか」と不思議そうでしたが、私がブレイス語に関心を持ったことをとても喜んでくれましたし、日本のこともいろいろと質問されました。写真6はその時の仲間たちです。そして、もう1枚(写真7)は修了証書をいただいたときの先生方との1コマです。

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言語は、時として人間社会を分裂させ、対立させる要因になります。歴史を紐解けば、言葉の違いが民族の対立や紛争へと発展し、ついには殺し合いに至るという事例を見出すことができます。
 これでは世界は平和になりませんね。言葉が違うからといって殺しあうなんて、ばかげていると思いませんか。それよりもお互いに相手の言葉をわかろうとすれば、自分自身も豊かになるし、相手もまた豊かになります。写真にあるとおり、お互いに笑顔でつきあうことができるようになるはずです。

 話はまったく変わりますが、現在、私は少林寺拳法部の顧問をしています。稽古で部員たちと汗を流すとともに、仙台中央道院にも通って稽古に励んでいます。写真は昨年の宮城県大会に団体演武で出場したときの仲間で、後列右端が私です。ちなみに前列中央の竹中さんはなんと御年71歳! とても稽古熱心で、初段位を允可されています。

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さて、少林寺拳法の教えの中心は「自己確立」「自他共楽」です。少林寺拳法は「肉体も精神も健全でたよりになる自己をつくり(自己確立)、自分と同じように他人の幸せも考えて行動する(自他共楽)」ことを目指す、人づくりのための行です。自分のことはもちろん大事にするが、相手のことも自分と同じように大切にする。

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この考え方は、「自分の言語を大事にするが、相手の言語も同じように大切にする」と言い換えれば、先の言語の話と同じです。もちろん、私の専門である国際政治についても同じことが言えるでしょう。「自分の国を大事にするが、相手の国も同じように大切にする」。
 ということで、「みんなが仲良く幸せに暮らすことのできる世の中をどうすれば実現できるか」と日々考えております。

 最後に一言。少林寺拳法って本当に楽しいですよ! ぜひいっしょにやりましょう!