教員のリレーエッセイ:音楽科 教授 小山 和彦

音楽科で、作曲と音楽理論、ソルフェージュを担当している小山和彦です。どうぞよろしくお願いします。
作曲は、音楽のスタートラインといえます。それは即興的な演奏であっても、じっくり推敲を重ねた末に完成した作品であっても変わりません。私は、歌うことと同様に誰でも作曲は出来ると思っています。確かに交響曲やオペラなど大規模な作品を書くことは専門知識や、経験が必要になってきますが、手紙を書くことと同じように、短い曲をつくることはたぶん可能です。

多くの人々に作曲に関心を持ち、実践してもらうために、最近とり組んでいる活動があります。大学附属音楽教室では、教室生に自分自身が作詞、作曲した歌をつくるという課題を与えました。これまでにその中から数曲を私が合唱に編曲し、発表会で披露しています。また、東北地方の若い人々に、作曲を通じた良い音楽体験を提供すべく、ヤングコンポーザーコンサートin東北という企画も行い、公募作品によるコンサートやワークショップを開催しています。

私個人としては、様々な編成の作曲や編曲にとり組んでいますが、ライフワークのひとつと考えているのは、ピアノ協奏曲など、ピアノが関わる作品を書き続けることです。昨年はピアノ協奏曲第3番を東京オペラシティで初演しました。これからもピアノのための協奏曲(第5番まで書くのが目標)や独奏曲の作曲から、ピアニズムの新しい可能性を模索して行こうと思っています。
さて、音楽作品を作曲者以外の第三者に演奏してもらうには、一般的には音楽の設計図である楽譜が必要です。また、良い作品であればあるほどそこには速度、リズム、音の高さなどの情報だけではなく、「行間を読む」ための無数のヒントが隠れています。それらを読譜することによって、その音楽を代弁できるのです。楽譜から新しい何かを発見するためにも、言葉では「書く」ことに当たる「作曲」を皆さんにトライしてほしいです。