教員のリレーエッセイ:食品栄養学科 教授 星 祐二

皆さん、こんにちは。食品栄養学科の星祐二と申します。食品系の授業を担当し、1年次の「食品化学Ⅰ」「食品化学Ⅱ」「食品学実験Ⅰ」や3、4年次の「食品理化学実験」「食品物性学」等が主な講義や実験です。

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食品化学では、化学の目を通して食品成分について学びます。その他に食品成分表や、食品の保存性と関わりの深い水分活性についても学びますが、水分活性の知識は非常食の製造にも利用されています。食品成分の大半は有機化合物なので、高校「化学」の有機化学分野を勉強してほしいと思います。最初はとっつきにくいですが、ルールを覚えると見通しがよくなるのが有機化学の特徴です。コツコツと根気強く学ぶ習慣を身につけていただきたいと思います。初めて九九を習ったとき戸惑ったと思いますが、何度も何度も口ずさむうちに掛け算がスムーズにできるようになったのと同じです。

3年時の食品理化学実験では、マヨネーズを作るときに卵の黄身を入れないとどうなるのか、どういうふうにすれば卵白がよく泡立つのか等を実験で体験し、4年次の食品物性学でその理由を考察します。

現在の研究テーマは、小麦アレルギーの方、あるいは糖尿病や腎臓病の方でも食べられるシフォンケーキレシピの考案、デンプンを多く含む食品の美味しさを化学的に評価する測定法の開発、低グルテリン米の消化性等です。お米はデンプンを多く含むためエネルギー源として重要な食物ですが、体を構成するタンパク質の供給源でもあります。お米のタンパク質には消化されやすいグルテリンと消化されにくいプロラミンがあります。普通は消化されやすい方がよいのですが、腎臓病の患者さんのようにタンパク質の摂取量が制限されている方には、グルテリンが少なく、プロラミンを多く含むお米が適しているのです。その理由は、食品栄養学科の学びで解決できます。皆さん、食品栄養学科で食物について一緒に学びましょう。