幼児教育専攻では保育士・幼稚園教諭以外に、社会福祉士国家資格の受験資格が得られます。この資格を得るには、厚生労働省のシラバスに沿った180時間のソーシャルワーク実習を行わなければなりません。4年生の夏に行われるソーシャルワーク実習は24日間に及びます。この実習は、それまでのカリキュラムで行ってきた実習の中で最長のものです。
実習では、2年生から3年間学んできた相談援助の知識や技術が実際のソーシャルワークの現場で通用するのかを、実習指導者資格を持った社会福祉士がいる相談援助機関や施設で指導を受けながら確かめます。授業で習ってきた知識を実際の体験の中に当てはめて繰り返し考えることで、理論と実践を結び付けることが、この実習の一番の目的です。
現場の厳しさに鍛えられ、24日間で大きく成長して帰ってきた4年生たちはその実習体験をまとめ、翌年以降に実習を行う下級生の前で発表するソーシャルワーク実習報告会が行われます。今年は後期授業が始まって間もない10月21日に開催されました。
今年は26名の4年生が宮城県、山形県、福島県の18か所の実習先で学び、報告しました。下級生がより具体的に実習のイメージが持てるように、報告の後はグループに分かれて3年生、2年生との意見交換会を行いました。
児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉、社会福祉協議会、病院など、実習先ごとに分かれて、その実習先に興味がある下級生がグループを回り、先輩に率直な質問や不安をぶつけて先輩方に応えてもらう形にしました。
「高齢者施設では人の死が身近にあり、人生の最後の場面の支援を見た。人生を深く考えることができ、人間の幅が広がったと思う。保育士になるから児童というのではなく、いろいろな社会福祉の現場を見て、援助の幅を広げてほしい。」という先輩からの助言が印象的でした。
福祉コースでは児童福祉に限るのではなく、病院や社会福祉協議会、障害者施設など、多様な社会福祉機関・施設で実習できるよう学生をサポートしています。保育や児童福祉の分野で働くとしても、子どもは大人になり、そしてやがて死ぬ、という人の一生が理解できていることが、良い援助者となれる条件の一つだと考えているからです。