日本心理学会で、保育につながる研究・教育の取り組みを発表
「この子は今、何に興味を持っているのだろう?」「どんな関わりが、次の一歩につながるだろう?」
子どもの姿を丁寧に見つめ、考えることは、保育の大切な仕事です。新しい技術が身近になる時代にも、その大切さは変わりません。
本専攻の西浦和樹教授が、日本心理学会第90回大会のシンポジウム「生成AIを用いた心理学教育:実験生成から講義運用まで」に登壇しました。会場は満員となり、発表では、心理学の知見と生成AIを生かした実験・教材・保育ドキュメンテーションの開発などを紹介しました。

同じ写真から、子どもについて考える問いが広がる
保育ドキュメンテーションとは、写真や活動の記録に保育者の気づきや考えを添え、子どもの経験や育ちについて振り返り、語り合うための記録です。
発表では、同じ写真でも、何に注目し、どのような問いを立てるかによって、記録の内容が変わる例を紹介しました。「何をしたか」をまとめるだけでなく、「どんなことに関心を向けているのだろう」「次はどのように関われるだろう」と問いを広げる。そこに、心理学の視点を保育に生かす意味があります。

AIに任せるのではなく、人が確かめ、考える
AIの役割は、子どもを診断したり、保育者の判断に代わったりすることではありません。保育者が子どもを理解するために振り返り、対話することを支える道具として活用します。
大切なのは、AIがまとめた内容をそのまま信じるのではなく、実際の子どもの姿と照らし合わせることです。写真だけで気持ちや発達を決めつけず、記録の内容を確かめ、子どものプライバシーを守る。新しい道具を使うときこそ、人の判断が欠かせません。

子どもが好き。その思いを、子どもを理解し、支えられる力へ。
保育教諭を目指す皆さん。子どもの心や発達を学ぶことが、保育の仕事にどうつながるのか。幼児教育専攻の学びや進路について、オープンキャンパス・個別相談でお話ししませんか。
なお、今回の会場となった東洋大学は、創立者・井上円了の「妖怪学」でも知られています。迷信や怪奇現象を科学的に調べた円了の姿勢は、生成AIをそのまま信じず、「本当に正しいか」「子どもの姿に合っているか」を人が確かめる今回の心理学的手法にも通じます。

本発表の一部は、JSPS科研費 基盤研究(B)(課題番号:25K00781)の助成を受けた研究に基づいています。
発表題目:「生成AIは心理学教育のシンギュラリティか―人の可能性を拡張する『実装するAI』としての活用―」西浦和樹(宮城学院女子大学) 2026年9月5日(土)13:40-15:20会場8(東洋大学)
