幼児教育専攻の教員が、リレー方式で担当している附属森のこども園の園だより5月号のコラムを紹介させていただきます。
今回は、平川久美子准教授のご担当です。
「頑張りを認めてほめる」
多くの保護者は「子どもをほめて育てたい」と思いながら、日々子育てをしているのではないでしょうか。確かに子どもをほめて育てることは、子どもの自信につながり、自己肯定感を高めると言われています。一方で、子育てをする中では「ほめるって意外に難しい」と感じることも多いように思います。保育学生が保育所や幼稚園に実習に行くと、「子どもをほめる言葉が『すごい』『かっこいい』しか浮かばなかった」と言って実習から戻って来ることも少なくありません。
娘が小学1、2年生だった頃、ある日の夕食後に娘に宿題を終えたか尋ねるともう終えたとのこと。「明日の学校の準備は?」と尋ねると「もうやった」という返事。思わず「すごいね!!」と声をかけると、娘から返ってきた言葉は「お母さん、普通だよ」。宿題や明日の学校の準備を親に言われなくても終えることは、娘にとって“普通(当たり前)のこと”であり、ほめられるようなことではなかったのです(息子が同じ位の年齢のときには、このようなときには満面の笑みで「すごいでしょ!」と言っていましたが…)。大切なのは何でもほめることではなく、「何についてほめるか」なのだと思い知らされた経験です。
私自身は、2つ上に出来の良い姉がいたこともあり、親からは「やればできる」「もっと頑張れ」と叱咤激励されることが多く、ほめられた記憶はあまりありません。それでも今考えると、親からほめられた経験は少なかったものの、私が頑張って取り組んだことについては、しっかりと認めてほめてくれていたように思います。
子どもの頑張りをほめるためには、子どもが何を頑張っているのか、何ができるようになりたいと願っているのかを理解する必要があります。そして、それは普段から子どもとじっくり関わり、子どもの声に耳を傾けていないとなかなか見えてきません。中学3年生になった娘は勉強や部活に大忙しの毎日を送っています。人間関係の悩みも尽きないようですが、娘の頑張りを見逃さないようにしたいと思っています。
宮城学院女子大学教育学部 平川久美子