スウェーデンヘルシンボリ市のプリスクール、レッジョ・エミリアからのインスピレーション:プリスクールのアトリエは、子どもたちの自立性が育つ

スウェーデンのヘルシンボリ市の紹介で、市内のプリスクールを訪問しました。宮城学院女子大学とヘルシンボリ市は、過去にも卒業生が夏休み中の保育ボランティア研修でお世話になったり、宮城県内の保育施設の視察見学に案内したりと、保育を通して国際交流を行っています。

今回案内していただいたプリスクールは、160人規模の少し大きめのプリスクールです。そこでの保育の特色は、①イタリアのレッジョ・エミリアからインスピレーションを受け、アトリエでの活動を行うこと、②移民の多いスウェーデンで約25か国語を母国語とする子どもが通園していること、です。

実際の保育は、スウェーデンの保育要領に基づいており、子どもたちの自立を促すことをアトリエの活動を通して実現しています。レッジョ・エミリアの100のことばにある通り、子どもがもつ100の可能性を失わせず、一人ひとりの発想や個性を大切にするというものです。そうすることで、子どもの自立が促され、自立できると大人の話を聞くことができるようになるという教育理念を大切にしています。

また、「子どもが絵を描いているときに、質問をすることが大切。そうすることで子どもの発達が促進される。」「子どもがする前に、大人が試す必要がある。」という考えで、反対の手で描いたり、ゆっくり描いたり、速く描いたり、友達と交換して描いたりして、自分の気持ちに「気づく」ことを大切にしています。

また、午後の研修では、「多言語環境の子どもたち」というテーマで、スウェーデンの移民の子どもたちの言語学習と言語教育についての講話を聴きました。講師は、以前にも宮城学院女子大学で話をしていただいたモニカ・アンダーソン先生(ヘルシンボリ市教育センター 言語教育者)で、幼児期の言語学習をヴィゴツキーの言語発達理論の「足場づくり(足場かけ)」の発想を取り入れて、スウェーデン語の教育を行っていることを学びました。

世界各国では日本のように日本語だけで生活できる環境は少ないこと、8歳から11歳程度の子どもが最も効率よく2年から5年程度で言語獲得できること、学校で勉強するには7000語程度の語彙を習得しておく必要があることもわかりました。これらの知見は、日本の保育・教育において貴重な示唆を与えてくれるものです。今後の日本の保育現場において、スウェーデンの経験を活かし、子どもたちの言語獲得と自立促進に一層注力していくことが求められます。

(文責:西浦和樹)