2018年1月17日(水)、健康教育専攻教育研究推進費企画特別講演「思春期を生きる~小説家・母 石田香織」を開催いたしました。

1月17日は、私たちにとって忘れられない日となりました。石田香織さんの講演会は、誕生したばかりの健康教育専攻の学生たちが、教職員と力をあわせて実現した初めての大きなプロジェクトでした。学生たちが地域に向けて発信し、自らの学びを創造する第一歩を踏み出したと言っても過言ではないでしょう。最初に、実現までのプロセスを簡単に少し紹介させていただきます。

石田香織さんの小説がよいという推薦を受けて、みんなで本を読むことから始まりました。小説に登場する不器用で愛おしい人物たちにどこか自分や身近な人々を重ね、自分の思春期を思いだす私たち。そこで「思春期を生きる」というテーマが立ち上がりました。この素敵な発見を、もっとたくさんの人たちと分かち合うには、どうしたらよいのだろうと動き始めました。まずは「きょうの日は、さようなら」を図書館では新刊書籍の紹介コーナーに、生協では販売コーナーを設置してもらい、手作りポップやちらしで紹介させていただきました。準備はスムーズにいった事もあれば思うようにいかない事もありましたが、それらの体験を経て迎えた当日。

石田香織さんとアバンギャルズトリニティ(小説の世界を小説だけで終わらせないで、それぞれのイメージで膨らませるために結成されました)の皆さんとの出会い、遠くは東京、福島と県外からも足をお運び頂いた学外からのお客様、学内でも他学部・他学科の学生や教職員の方々、普段は教室で席を一緒にすることのない方々と座る教室は、いつもとは少し違う空気が漂いました。

講演会は、まるで石田さんの小説の中に私たちが飛び込んだような感覚になりました。石田さんが紡ぎ出すことばの合間には、小説の世界を膨らませつくられた歌、思春期のイライラ・葛藤がユーモアを交えながらお芝居で表現されました。これまで体験してきた講演会とは全く違うスタイルでした。参加されたみなさんが身体全体の感覚を使って受けとめる講演会だったと思います。

講演会終了後、多くの方々からたいへん丁寧な感想を頂きました。ぜひ、感想もお読みいただき、講演会の様子をご想像いただければ幸いです。また、皆様から頂いた感想は、私たちにとりましてとてもうれしい励ましになり、次への1歩を踏み出す勇気とエネルギーになりました。この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

今後も、学内外問わずみなさまとともに学ぶ機会をつくっていきたいと考えます。どうぞこれからも、宮城学院女子大学教育学部教育学科健康教育専攻をよろしくお願い申し上げます。

参加者のみなさまから寄せられた感想

◆今日は、ありがとうございます。中3の息子をもつ母親として、日々子どもの気持ちを分かってあげたいと思いながら暮らしております。リビングの紹介見て「講演会」というのでまるっきり別の内容を想像して来てみました。最初は、びっくりしましたが、石田先生の娘さんとの日常に「分かる。分かる」と思えたり、先生との思い出、ご両親とのかかわり、本当に若いうちからの就職、子育て、作家デビューまでのお話を聞いて、私もがんばろうと思いました。私も就職した時は神戸にいて、震災直後も何度も神戸に行っていたので、関西弁もなつかしく、本当に貴重な時間でした。ありがとうございました。【一般】

◆私は、小中学校の頃から人と話すのが苦手でした。そのため、休み時間毎時、図書室に通っていました。授業は出席し、友ダチもいるにはいたのですが、人といることが苦痛というか、そう感じていました。休み時間の度に、図書室に行き、本を1冊くすねて授業中に読んで次の休み時間返してまた借りてという感じです。人と話すことが苦手なことを、今でも引きずっているのですが、石田さんの話を聞いて、長所も短所、欠点も含めて、今の自分をつくっているものなんだと思いました。【学生】

◆今日この講演をきくことができて、とてもよかったと思いました。自分の過去や今と重なる部分が多々あって、励まされました。「自分の苦手なことやコンプレックスも時がたてばプラスにかわる」ということばがすごく心にひびきました。私も今、新しいことに挑戦しようとがんばっています。石田さんのように前向きに物事をとらえ、前にすすんでいけるようにがんばっていきたいです。【学生】

◆参加のかたちもある新しい型の講演会、ありがとうございました。新鮮だったし、面白かった。素晴らしくて。楽しかった。聞くという体験が、今後の生活におおいに反応、参考になり、自分のみりょくにつなげていきたい。思春期の悩みは、なにもかも財産になるのかな…そうだ、そんなことを感じ想う講演会。ありがとうございました。今日の日はさようなら、また、会えるから…【一般】

◆お話だけでなく演じながらだったので情景などがわかりやすかったです。思春期の乗り越え方は人それぞれなので、サポートすることが大切だと感じました。本日は、ありがとうございました。【学生】

◆90分間があっという間で、とても面白かったです。演劇もこんなに近くで見れるとは思っていなかったので、無料でとても中身の濃いものとなりました。私も学生の頃、先生に声をかけられても無視や態度の悪い返事を返していたことがあったので、今回の中でも自分と重ねることが多々あり、いろいろなことを考えることができました。今回聞いたことを糧に、養護教諭としての夢を叶えられるようにがんばりたいです。【学生】

◆話の内容も考えさせられる内容で勉強になりましたが、それに加え演劇を交えた、やっている側も見ている、聞いている側の人たち全員が楽しめるものになっていて、ただ 楽しんで参加できました。また、関西の方々の物事の楽しみ方に学ぶところがたくさんあることを感じました。こんな立派な企画をし、成功させた学生たちに拍手を送りたいと思います。【一般】

◆今回の講演を聞いて、思春期の子どもたちはもちろん、それ以外の生徒と向き合うことは、とても大変なことなんだなと感じました。でも、決して自分自身の気持ちを子どもたちに押しつけたりするのではなく、子どもの気持ちに少しでも近付くことが大切だと改めて思いました。小説を劇や曲にしたものを初めて観たので面白かったです。まだ石田さんの本を読んだことがないので、早く読みたいと思います。【学生】

◆この会が無かったら知ることがなかった、本の作品。石田さんやアバンギャルズの存在と交流することも出来なかった。おつかれさまでした!ありがとうございました。【学生】

◆4年生ですが、今まで大学で受けた講演会で一番ためになりました。濃い1時間30分を過ごしました。【学生】

◆1.生活保護を受けられるこの日本が実家というホームレスの根性、これは違う、自ら働いて生活すべし(⇒ダンボール集め、雑品集めでも行っている人いる)

2.生活苦といいながらランチに行く。この気持ち違う。

3.いろんな人生があるのではということを感じた。真面目に50年間サラリーマン生活した自分にとっては、こんな人生聞かされると「人生チャラになる」ということが実感させられた。波乱万丈のネタを語れるのは逆にうらやましい。こういう題材がとり上げられるケースよい。コツコツ働いてきた人の人生もとり上げてほしい。

4.演劇のようにその人の中に入っていったり、客観的に自分を外から見たりすることが大切ということを感じた。

5.今、できることを今やる。この積み重ねが人生だ!【一般】

◆聴衆をまき込み、問題を共有できる形式ですばらしいと思った。大変参考になりました。「駄目なところが財産となる」というのは大きな励みとなる。自分をさらけ出した青春は、私達にはすばらしい贈り物だと思いました。【一般】

◆とてもおもしろかったです。最初の歌もごみ箱を使う意味とかを考えさせられました。親子の会話もわかるというか、身近な会話で入りやすかったと思います。サポートする側の姿勢をずっと観察させていただきました。今回、このような機会をつくっていただきありがとうございました。委員会のみなさまもお疲れ様でした。【学生】

◆学生たちがミニ演劇?をやったのがとてもおもしろかったです。テキストの中で勉強しているカウンセリングなるもののような場面を学生同志ですることによって思いもよらぬ自分を知り、相手を知るきっかけになるのでは?彼女たちの今日の体験をFB(どう思ったか感じたか、声をきいてみたい)するのが大事かなと思います。(ふたりのやりとりを見ていた人もFBする。)相手の声・話を聞く、無条件に受けとめることは、誤解を受けるかもしれませんが、やはり、ひとつの人生のスキルでもあると思いました。【一般】

◆斬新な講演会でした。【一般】

◆今回の講演を聞いて、思春期の子どもたちはもちろん、それ以外の生徒と向き合うことは、とても大変なことなんだなと感じました。でも、決して自分自身の気持ちを子どもたちに押しつけたりするのではなく、子どもの気持ちに少しでも近付くことが大切だと改めて思いました。小説を劇や曲にしたものを初めて観たので面白かったです。まだ石田さんの本を読んだことがないので、早く読みたいと思います。【学生】

◆すごいお話でびっくりしました。ただの講演だと思っていたのでおもしろかったです。学生さんもなかなかよかったです。人生をパワーの力で切りひらく。えらいです。見習いたいです。ありがとうございました。【一般】

◆大阪生まれ、神戸の大学に通った者としてなつかしく関西弁をお聞きしました。本音を話しやすい関西弁、それだけにきついつっこみに泣かされたことを思い出しました。東北では、そんなつっこみはあまりないのですが、いじめはいろいろな形で存在するのでしょうね。三人もの中学生が自殺することになってしまいました。生きることは苦しいけれどすばらしいと、今回の講演をお聞きして改めて思いました。【一般】

講演会終了後は平本ゼミと生協にご協力を頂き、美味しいランチを頂きながら学内の交流会を行いました。

サプライズは、石田さんの小説に出てくる「クレームダンジェ」を平本ゼミの学生に再現してもらいました。それぞれの専門を活かし、力を出し合うことで大きなそして素敵なことが出来ることも学びました。何より「クレームダンジェ」を石田さんが大喜びしてくださったこと、その笑顔を私たちは忘れることはないでしょう。