フィールド実習(北海道)を実施しました。

 9月4日から9日までの6日間、「フィールド実習(国内)」で北海道の歴史と文化を学びました。1年生3名、2年生3名の計6名と教員1名で道南、道央地域の5都市を中心に回りました。
 好天に恵まれ、広大な北海道の大地、先住民族アイヌの歴史と文化、近代の開拓の歴史、現代の北海道の芸術と生活をじかに体験して、実りある6日間を過ごすことができました。

主な見学先は次のとおりです。

・特別史跡 五稜郭(函館市)
・伝統的建造物 旧相馬邸(函館市)
・アイヌ民族博物館(白老町)
・仙台藩白老元陣屋跡(白老町)
・アイヌ文化博物館(平取町二風谷)
・北海道博物館(札幌市)
・北海道開拓の村(札幌市)
・北海道大学植物園(札幌市)
・北海道大学総合博物館(札幌市)
・北海道立近代美術館(札幌市)
・北海道立三岸好太郎美術館(札幌市)
・小樽市総合博物館(小樽市)
・小樽市鰊御殿(小樽市)
・ザ・グラススタジオ・イン・オタル(小樽市)

2017フィールド実習(国内)2-1
アイヌ民族博物館(北海道白老町)で学芸員の竹内隼人さんからチセ(住居)の説明を受けました。「アイヌと和人の生活や宗教の違いが鮮明に見えてきました。ひとくちにアイヌ文化といっても、地域によって差があると聞いて面白いと思いました。」

2017フィールド実習(国内)2-2
アイヌ民族博物館(北海道白老町)で学芸課係長の八幡巴絵さんから2020年完成予定の「民族共生象徴空間」について説明を受けました。ここには国立アイヌ民族博物館が開館する予定です。「多くの人にアイヌ文化を知ってもらうため『観光』が重要であること、そこで多くの部署にかけ合うなどの課題が沢山あることを知りました。」

2017フィールド実習(国内)2-3
仙台藩白老元陣屋跡を歩いたあと、白老町仙台藩元陣屋資料館で学芸員の平野敦史さんからお話をうかがいました。「仙台藩が幕末期に北海道に陣屋を築いていたことを聞いて驚きました。このことは親や親戚に教えなければならないと思いました。」

2017フィールド実習(国内)3-1
アイヌ文化博物館(北海道平取町二風谷)でアイヌのフチ(女性の古老)木幡サチ子さんからアイヌ語の歌と言葉を教わりました。「幼いときの記憶を頼りに、60歳を過ぎてからアイヌ語を本格的に学び始めたと聞いて、いくつになっても努力を続ける大切さを学びました。」

2017フィールド実習(国内)3-2
二風谷(にぶたに)の藤谷民芸店で店主の藤谷るみ子さん(刺繍作家)からアイヌ刺繍の手ほどきを受け、コースターを作製しました。
「当時のアイヌの女性は日常の一部で苦労を感じなかったのかもしれませんが、慣れない自分はこれを毎日続けるのは考えられませんでした。体験することの重要さをひしひしと感じました。」

2017フィールド実習(国内)4-1
札幌市の北海道開拓の村では学芸員の細川健裕さんに案内をしていただきました。総面積54ヘクタールという広い敷地の中をつねに後ろ向きに歩きながら学生たちに話かけてくださいました。 「馬車の音や建物内の匂い、デザインのこだわりを見るなど、北海道開拓の歴史を体感することができました。」

2017フィールド実習(国内)5-1
札幌市の北海道立近代美術館ではボランティア解説員の方に作品の説明をしていただきました。開拓農民として十勝に入り、農作業の傍ら絵を描き続けた神田日勝の《室内風景》の前で、大地とともに生きた夭折の画家の心に触れることができました。

2017フィールド実習(国内)6-1
最終日は小樽で過ごしました。戦前までは札幌より大きな町だった小樽には歴史的な建造物や文化財が多く残されています。なかでも石炭や物資の輸送に活躍した蒸気機関車は、国内で唯一JR以外の管理運営による動態展示です。館長の石川直章さんにじきじき説明していただきました。

2017フィールド実習(国内)6-2
フィールド実習(国内)最後のプログラムは、小樽でガラス工房「ザ・グラススタジオ・イン・オタル」を経営している淺原千代治氏に、吹きガラスの技を見せていただきました。1400度という高熱で柔らかくなったガラスを自由自在に操る淺原さんの技に、一同息をのみました。「淺原さんの、技術は師匠から弟子へと伝達することができるが、感性はその人自身の生活の中で五感で得たものが反映されるため他人へ教えることはできない、という言葉が印象的でした。」(担当:井上研一郎教授)